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蓮池透 拉致被害者家族
「わざわざアメリカまで行ってトランプ大統領にお願いするというのは、自分たちがお手上げということの裏返しなわけですよね」

朝日新聞デジタル 4月23日

蓮池透さん ©時事通信社

 安倍首相の「私が司令塔」発言に激しく反応したのが、拉致被害者家族の蓮池透氏だ。朝日新聞の取材に対して「拉致問題は日朝の問題であり、本来は安倍首相がそれこそ司令塔となって、日本が北朝鮮と直接交渉を進めるべき話」「首相は『司令塔』と言うからには、きちんと自分で北朝鮮に向き合い、情報を収集して相手を研究して取り組んでほしい」と強調した。

 蓮池氏はかねてから「拉致問題の膠着化は日本側にも原因がある」と安倍政権を繰り返し批判してきた。昨年も「安倍首相ら政治家は『あらゆる手段で拉致被害者を取り戻す』と言ってきたが、具体的にしたことは制裁の強化ばかり。本当に取り戻すつもりなら、相手を分析して戦略を考えてほしい」と語っている(朝日新聞デジタル 2017年8月23日)。

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 そもそも、2002年に日本に帰国した拉致被害者を戻すよう要求してきた北朝鮮に対して、強硬姿勢で日本にとどめたという官房副長官時代の安倍氏の功績も著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』の中で完全否定。「安倍首相は、われわれを人気取りのために利用しているのではないか」というのが蓮池氏の見解である(現代ビジネス 2016年2月6日)。

安倍晋三 首相
「必要なのは対話ではない。圧力だ」

毎日新聞 2017年9月21日

 これは安倍首相が昨年、ニューヨークで開かれた国連総会で語った言葉。首相は15分間の演説の8割を北朝鮮問題に割き、国際社会の結束と北朝鮮への「圧力」を求め続けた。そして9月25日、首相官邸で会見した安倍首相は衆議院の解散を正式に表明し、「国難突破解散」をブチ上げて衆院選に大勝した。

「国難突破解散」をブチ上げて大勝した昨年の衆院選 ©時事通信社

 安倍首相は今年1月にも「北朝鮮が非核化の約束をほごにしてきた経緯を踏まえれば、対話のための対話では意味がない」と語っていた(朝日新聞デジタル 1月26日)。