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これに対し検察側も“5点の衣類”が発見されるまでに要した1年2カ月と同期間をかけて血液の付着した布を味噌に漬ける実験を行い、その結果「赤みが残る可能性はある」と真逆の見解を示した。

こうした中、東京高裁は2023年3月に示した判断の中で「赤みは消失すると推測される」と指摘した上で「犯行着衣であることに合理的な疑いが生じる。無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」として、裁判のやり直しを決定。

さらに“5点の衣類”については「第三者が味噌漬けにした可能性がある。捜査機関による可能性が極めて高い」とまで踏み込んだ。

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捜査機関によるねつ造を認定

2023年10月から始まった再審公判では、検察側が“5点の衣類”について袴田さんが犯行時に着用し、味噌樽に隠したと改めて主張し、「捏造はどう考えても実行不可能で非現実的」と述べたのに対し、弁護側は「“5点の衣類”は何者かが袴田さんを犯人に仕立てるために捏造したものであり、そうした動機があって実行できたのは警察しか考えられない」と反論。

そして、静岡地裁は9月26日、無罪判決を言い渡した。

 

争点となった“5点の衣類”に関しては「赤みが残るとは認められない」とした上で、「捜査機関によって血痕を付けるなどの加工がされねつ造されたもの」と認定し、自白についても「黙秘権を実質的に侵害し、虚偽自白を誘発するおそれの極めて高い状況下で、捜査機関の連携により、肉体的・精神的苦痛を与えて供述を強制する非人道的な取り調べによって獲得されていて、実質的にねつ造されたものと認められる」との見解を示している。

(テレビ静岡)