中国・広東省深圳市の日本人学校に通う10歳の男児が、9月18日、44歳の中国人男性に果物ナイフで突き刺されて死亡した事件。事件発生から10月2日で2週間が経つが、中国側は依然として犯人の動機を明らかにしていない。
これまで「週刊文春」では、日中関係の軍事的・経済的リスクを取り上げる「中国にNOと言おう」と題するキャンペーン記事を配信してきた。一連の記事を担当してきた編集部のH記者が解説する。
「『TikTok』や『快手(クワイショウ)』などのショート動画のプラットフォームで反日的なコンテンツが溢れているというのも、犯行の背景の一つとして指摘されています。特に、日本人学校に対するヘイト・デマ動画は大量にあふれていて、生徒をターゲットにした犯行に繋がっているのではないかと指摘されています」
9月23日、柘植芳文外務副大臣は北京を訪れ、反日的なSNS投稿を取り締まるよう中国側に求めた。だが、同日の記者会見で中国外務省は「中国には反日教育はない」と反論。こうしたヘイト・デマ動画が放置されてきた背景には何があるのか。
「習近平体制が始まってから大きく変化したことの一つとして、ネット空間の言論の取り締まりが強化されたということが挙げられます。これは北海道大学の城山英巳教授の指摘ですけれども、それ以前はネット空間で政権批判だとか、共産党批判がたびたび見られたそうなんですが、それが全くなくなり、そのような言説が御法度になったそうです。
そういった環境下で、反日的なコンテンツというのが『いいね』や再生数を稼げるキラーコンテンツとして成長したという背景があります」(H記者)
10歳の少年は、なぜ命を落とさなければならなかったのか。殺人容疑で逮捕された鍾容疑者の素顔、日本人学校への“嫌がらせ”の実態など、H記者が事件の背景を解説した有料番組の全編は「週刊文春電子版」を購読すると視聴できる。
【記者解説】「スパイ養成機関だ」日本人学校を襲う“中国の異常なネット空間”「習近平政権で反日デマが急増」《中国・深セン男児襲撃事件》【動画版】
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