ある日突然、夫婦で経営する喫茶店に「手伝いたい」と言って現れた美しい女性・マコ。彼女が絶対に出会ってはいけない女であることに、妻はまだ気づけなかった――。

 コミックエッセイ『優しい顔をした親友は、夫と不倫して私の家に入り込んできた。』(竹書房)は、原案者であるむーみーさんの実体験を元にしている衝撃的な作品だ。「優しいから裏切ったりしない」と信頼していたはずのマコの存在が、ジワジワと夫との関係を破壊していく、その一部始終が描かれている。

 ここでは、むーみーさんに作品の中で描かれている体験について詳しくお話を伺った。どうしてマコのような女性のことを信頼してしまったのか、そしてそれ以上に常軌を逸した夫・やぐるの「ありえない」発言とは……。飛び出してきたのは、信じられないようなエピソードばかりであった。(全4回の1回目/続きを読む

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『優しい顔をした親友は、夫と不倫して私の家に入り込んできた。』より

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夫にはモラハラ気質なところがあった

――作品を拝読して「これが本当に起こったのか!?」とびっくりしてしまいました。まず確認させていただきたいのですが、漫画の中で描かれていることは、本当にすべて「実話」なのでしょうか。

むーみー 実話です。身バレを気にして職業や言葉を一部変えているところはありますが、ほとんど事実ですね。

――なんと……。では、順を追って経緯を教えてください。もともと、むーみーさんと夫であるやぐるさんとの夫婦関係はどういったものだったのでしょうか。

むーみー 当時は2人目の子どもが生まれたばかりでしたが、ケンカとかは多かった方かなと思います。(やぐるさんに)ちょっとモラハラ気質なところがあったんですよね。たとえば、家族で出かけて行った先で怒って「もう帰る!」って私と子どもを置いて帰ろうとしたりとか、そういうところはありました。自分本位って感じですね。

夫・やぐるさんはカフェの経営者。当時はむーみーさんもお店を手伝っていた 『優しい顔をした親友は、夫と不倫して私の家に入り込んできた。』より

 ある時は、何かでケンカして私が「頭冷やしてくる」って家を飛び出したんですよ。それで家の近くのスーパーをちょっとぶらーっとして帰ろうとしたら、ドアのチェーンがかかってて家に入れなかったんです。ちょっとドアをドンドンってしたんですけど、集合住宅だったので、周りの人に通報されるかもって思ったら、もう夜も遅いしそんなにドンドンし続けられなくて。電話しても出てくれないし。

 結局その日は深夜1時くらいまで家のそばにいて、でも開けてくれなくて、結局友達の家に泊まらせてもらいました。ふつうに考えたら酷いですよね。しかも、友達の家に泊まったのがバレて、それはそれで怒られて。自分がひどいことをしたのが、周囲にバレるじゃないですか。だから「1人で乗り越えろ」みたいなこと言われたりして。結構理不尽だったなって。

 そんなふうに、イヤなことはあったけど、離婚とかまではまだ考えがいってなくて、うまく乗り越えられるんじゃないかな、って思いもあったんです。