ルークと名乗る同団体の調査員は、バリの犬肉取引の実態を明らかにするために、4カ月間にわたり潜入調査を行った。彼は豪ABCに対し、「犬が捕まえられ、袋に入れられ、恐怖におののく様子を目の当たりにした」と語っている。
「犬肉は苦しめれば苦しめるほど美味になる」
アニマルズ・オーストラリアがYouTubeで公開する動画には、野良犬が捕らえられてからビーチの観光客らに売られるまでの顛末がまとめられている。
動画は、ビーチでくつろぐオーストラリア人観光客と、その横で売られるサテの映像から始まる。ビーチの調理スタンドで豪快に焼かれて煙を上げており、何の肉かを知らなければ食欲をそそる映像だ。
しかし字幕は、「ところが(海外客を迎える)ホスピタリティ・ブームに乗り、秘密の取引が加速している」と告げる。映像が切り替わると、島内の観光スポットから離れた路地裏が映し出される。真っ白な母犬が、子犬のそばで怯えている。次の瞬間、人間が捕獲棒を伸ばし、先端に設けられたワイヤーの輪を母犬の首にかけて絡め取る。
犬は2人がかりで地面に組み伏せられ、口輪を掛けられると、四肢を縛られる。映像では次々と犬が捕獲されていく中、ある犬は激しく抵抗したとみえ、すねの骨が露出している。縛られ、不安そうに人間たちを見上げる。子犬たちも捕まえられ、プラスチックの袋に捕獲される。
観光情報を扱うウェブメディアの英カルチャー・トリップは、バリ島で捕獲された犬の約70%が木にロープで縛り付けられ、首を絞められ、生きたまま屠殺されると報じている。
「シンタ」と名付けられたある犬は、もともと檻の中で四肢を縛られて横たわり、食肉にされる寸前だった。バリ島では、犬肉は苦しめれば苦しめるほど美味になると信じられており、シンタも前足や顔に深い傷を負っていたという。シンタは愛護団体に救助され、里親センターに保護された。
毒殺された犬を食べる危険性
犬食には、衛生上の問題もある。タイムズ・オブ・インディア紙によると、バリの公共秩序機関の責任者であるデワ・ニョマン・ライ・ダルマディ氏は、「犬肉は食品ではなく、病気の原因にもなり得る。犬肉は健康に良いという迷信を信じてはならない。それは誤解を招く」と述べている。