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「畝本氏はもともと総長になるはずではなかったので…」
袴田さんのために控訴はしないが、袴田さんを無罪とした判決は徹底的に叩く。矛盾した内容にみえるが、そこには、初の女性検事総長である畝本氏に関する検察内の深刻な対立が反映されているという。
法務検察関係者は「畝本氏はもともと総長になるはずではなかったので、現場からの信頼が薄い。官邸の黒衣とされた黒川弘務元東京高検検事長の総長就任をにらんだ工作に失敗した辻裕教元仙台高検検事長が出世コースから外されたことでお鉢が回ったに過ぎない」とその来歴を振り返る。
いわば、ポッと出だけに、旧来の幹部と比べ、経験の浅さも目立つようだ。
「温和だが、捜査経験も法務官僚としての経験も中途半端。本人は控訴に否定的だったようだが、袴田さんを犯人視する現場から『捜査や公判の機微も知らないくせに』などと突き上げを食らって、こんな妥協案に落ち着いた」(同前)
談話では袴田さんの審理が長引いた原因を検証するとしているが、この姿勢では明快な結論は期待できそうにもない。
「控訴するか談話を引っ込めるか、どちらの決断もできないから結果的にどの方面からも反発を招く結果になる」との検察OBの声も聞こえる。定年の65まで持たないとみる観測まで早くも出ているという。