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 実家に戻ってきた祥子を父親は歓迎したが、それは祥子にとって孝一さんの気を引く方便でしかなかった。後日、孝一さんが泣き落としの電話をかけてくると、祥子は「待ってました」とばかりに同居を再開。数日後には籍を入れ直した。

 ところが、その2週間後には近所の中華料理店の女性店員と親しげにしゃべっていたという理由でまた離婚。「彼にやきもちを焼かせたい」という理由で、出会い系サイトで知り合った男と肉体関係を持ち、その写真をメールで送り付けて、「もうお互いに浮気はしない」と約束させた。

 周囲はこんな2人のママごとのような結婚生活に振り回され、「もういい加減にしろ!」とサジを投げた。それから間もない頃に孝一さんが突然、殺害される事件が起こったのだ。

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殺害の理由

 事件当日、例によって孝一さんの女性関係をめぐって口論になった祥子は、「お前とはもう、体の関係だけでいい」と突き放された。さらに「これ以上太ったら、浮気するぞ」と言われ、不安になった。

 その夜、孝一さんと添い寝しながら寝顔を見ていて、祥子は「こんな苦しみを味わうぐらいなら、ここでハッピーエンドを迎えた方がいい」と突然思い立ち、いきなり包丁を孝一さんの腹に突き立てたのだ。内臓が見えると、興奮してさらに何度も刺したという。

拘置所では3度の自殺未遂…写真はイメージ ©getty

 孝一さんは「祥子…」と言い残して絶命。それを見て、「最後まで私のことを考えていてくれたんだ」と思うと、うっとりした気持ちになった。祥子は“あの世で幸せに暮らす儀式”を施し、自分も自殺しようとしたが、死に切れなかったので、2日後には自首することにしたというのである。

「すると、あなたは殺意を持って、被害者の腹部に包丁を突き立てたんだな」

「はい、2人とも病気だったので、あの世で一緒になることが幸せだと思いました。殺してあげるのが一番いいと思いました」