1ページ目から読む
3/4ページ目

 こうして祥子は殺人罪で起訴された。ところが、祥子は公判が始まると、「彼に『殺してくれ』と頼まれたから刺した。調書はデッチ上げられた」と主張。弁護士も打ち合わせになく、「公判を延期してほしい」と申請した。

拘置所の中で3度も自殺未遂

 その後、祥子の奇行はますますひどくなり、「孝ちゃんの霊が来た」と言って拘置所の壁に延々と話しかけたり、「欲求不満で我慢できない」と言って差し入れられた本の角を使って延々と自慰行為をしたり、「私の病気は治る見込みがない」と言って3度も自殺未遂を図るなどした。祥子は再び、精神鑑定にかけられることになった。

 しかし、これで事件の真相が暴かれることになった。専門医による鑑定で、祥子は精神病ではなく、「罪を軽減したいがための詐病」と断定されたのだ。

ADVERTISEMENT

「被告人が主張する社会恐怖は、国際基準による妄想の定義には当てはまらない。性的パートナーの性的貞節を正当な理由なく疑うという妄想性パーソナリティ障害にも当てはまらない。被害者が被告人の名前を叫んで絶命し、被告人のことを考えてくれていると思い、うっとりした舞い上がる気分から、被害者との絆を保持したいと考え、自殺を企図した。被告人は情緒不安定性パーソナリティ障害であったと認められる。つまり、犯行においては人格が影響しており、精神面は影響していない」

 つまり、祥子の話はすべて作り話だったということだ。1年ぶりに開かれた公判で、祥子は初めて遺族に謝罪した。精神疾患を装っていたことについては、「父や妹に肩身の狭い思いをさせたくなかった。心中と言えば、心理的負担が軽くなるかと思い、ウソをついていました」と述べた。ホラー関連の話はすべて後から考えたという。