交際していた女性とは…
2011年の東日本大震災がきっかけで、原発再稼働に反対するように。翌12年には関西電力大飯原発3、4号機近くでテントを張り、抗議活動にも参加していた。ここ数年、臼田容疑者は表立った活動はしていなかったという。おのずと親子間の会話は少なくなっていった。
「1階は私、2階は息子の部屋でした。食事も別々で、お互い干渉しない生活ですよ。数年前にUber Eatsの配達員として働き始めましたが、それも昨年いっぱいで辞めてしまった。
でも、私からお金(生活費)を出すということはしていません。働いた貯金もあるでしょうけど、実母の生前贈与もある。働かなくても食べていけるわけですよ。最近は自宅に籠もって、パソコンなどをいじったりする時間が多くなりましたね。活動家の仲間が家に来ることもない。一時期交際していた女性がいましたけど、短期間で別れてしまった」(篤伸さん)
一方、臼田容疑者はXに社会活動への熱意を繰り返し投稿している。
〈法律に反してても、えーじゃないかえーじゃないか〉(23年1月26日)
〈決起こそ社会を変える〉(23年1月31日)
〈暴れる力で社会を変えよう〉(23年3月12日)
ある日、篤伸さんは息子の軽ワゴン車が入庫しているガレージを覗き見た。
「中までは入らないけど『いろんな可燃物があるな』ということは、わかっていました。でも、それを使う様子も窺えなかったので何も言いませんでした。咎めたりしても、いちいち言うことを聞く人間じゃないですから」(篤伸さん)
事件当日の朝。ガレージにあるはずの車が見当たらないことに気付いた篤伸さんは「仕事でも行っているのかな」と思い、特段気にも留めなかったという。時を同じくして、狂気を秘めた臼田容疑者は首相官邸前でアクセルを踏み込んでいた――。
◇◇◇
一体なぜ臼田容疑者は狂気のアクセルを踏んだのか? 配信中の「週刊文春 電子版」では臼田容疑者の父親のインタビュー全文を一挙掲載する。幼い臼田容疑者を襲った虐待と親子に生じた隙間風、そして家出の事実。その後に起こした政治的なアクションの数々と容疑者が現行犯逮捕されたもう一つの事件。事件の背景に迫った数々の証言を紹介している。
継母からの虐待、8年の家出、脱原発活動と現行犯逮捕…“官邸突っ込み男”臼田敦伸容疑者(49)の父親が告白する「襲撃犯が生まれるまで」「息子に悪いことをしてしまった」
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