センスの哲学』が話題の哲学者・千葉雅也さん。「センス」や「芸術」、あるいは「芸術と生活」について、読者の疑問に応える連載「センスにまつわる質問箱」。本日は、時間の使い方に悩む23歳の質問に答えます。

『センスの哲学』(千葉雅也 著)

【vol.5 アウトプットに時間を使うには?】
 千葉先生の時間の使い方について聞きたいです。私は、平日は仕事に忙殺されており、休みの日は読書や旅に当てているのですが、アウトプットする機会を持たなくて、考えたことや感じたことがすぐ砂嵐のように消えていきます(読書も古典などは難しくそれだけで休日を使ってしまいます)。
(Manat、和歌山県、会社員、23歳)

千葉さんのお答え ”スマホの音声入力”で短いエッセイを作ってみる

 僕の場合は読んだり書いたりすることが仕事なので、アウトプットのために時間を使える状況にあるわけですが、そうではなくて会社の仕事がメインであるような場合には、何か工夫が必要になるかもしれませんね。この質問をくださった方は読書をしたり、旅行されたりしているようですが、たとえば、寝る前の時間に、思いついたことをスマホに音声入力してみるところから始めるのはどうでしょうか。音声入力を、毎日ではなくても、蓄積しておく。その後、ChatGPTなどの生成AIに、「音声入力したテキストを、元の文章を大きく変えずに整えてください」みたいなプロンプトで多少直してもらい、それをベースにして短いエッセイを作っていくというのはいかがでしょう?