再現実験で内部の基板が発熱し、穴が開いた温水洗浄便座(NITE提供)

 温水洗浄便座を巡り、過去10年間で発生した発火などの事故の8割近くが、製造から10年以上の製品だったことが、製品評価技術基盤機構(NITE)のまとめで分かった。国産製品が初めて市場に投入されてから50年以上が経過。NITEは、家庭で長く使われている便座が増えているとして、「定期的に点検し、異常は放置しないで」と呼び掛けている。

 NITEによると、国産製品の市場投入は1967年。2016年には普及率80%を超え、水洗化されているほぼすべての家庭に設置されるほど定着しているという。

【図解】温水洗浄便座事故の製造からの年数別割合

 昨年までの10年間に発生した温水洗浄便座の事故をNITEが調べたところ、報告のあった69件のうち54件(78%)が、製造から10年以上の製品だった。40件は便座の破損で済んだが、8件は異常発熱や熱水の噴出により重度のやけどなど人的被害が出た。また、故障などを放置して発煙や発火、やけどにつながった事故は15件に上った。

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 東京都内では22年、洗浄ノズルが出たまま戻らない故障を放置して使用を続け、3カ月後に火災が起きる事故が発生。17年に長野県の店舗で便座が焼けた事故では、強酸性の洗剤で毎日掃除していたことにより内部が腐食したことが原因とみられるという。

 NITEは「温水洗浄便座は長く使われがちだが、電気製品で寿命がある」と指摘。掃除の際は便座に洗剤を直接吹きかけず、布などに含ませて拭くことを推奨している。水漏れや焦げた臭い、便座の異常発熱、操作ボタンのひび割れなどを見つけたら、すぐに止水栓を閉め、電源プラグを抜いて販売店やメーカーに相談するよう注意喚起している。