世界平和統一家庭連合(旧統一教会。以下、統一教会とする)が2021年の衆議院総選挙で、自民党議員を選挙支援したことを記す内部資料が波紋を拡げている。

 ジャーナリストの鈴木エイト氏が入手したのは、統一教会のフロント組織である世界平和連合(FWP)の中部地区常任講師のS氏が、組織内の会議のために作成した資料、『激動の2021年「政治決戦 総選挙と日本の行方」』だ。

文藝春秋 電子版」が10月23日に報じた「全公開『極秘 旧統一教会内部資料』33ページ 2021年衆院選、旧統一教会に支援された自民候補者実名リスト」では、全33ページを公開。婦人部や青年部、壮年部までが時間制で電話掛けやビラ撒きを行う“総力戦態勢”や、愛知県から新潟県に至る「中部地区」候補者の“格付け一覧”、さらには、自民党議員と統一教会との関係を示す“決定的証拠写真”が掲載されている。

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旧統一教会が自民党議員を選挙支援したことを記す内部資料

各候補者の当落予測や当選戦略まで記載

 内部資料の2頁には、「勝共推進国会議員」4名の全員当選について本部から要請があったことや、各候補者の当落予測や当選戦略までが明記されている。

2頁(内部資料より)

「勝共推進国会議員」とされる4名のうち、愛知4区の工藤彰三氏といえば、消費者庁を担当する内閣副大臣として23年11月17日の国会で、教団の韓鶴子総裁との5回にわたる面会、21年選挙での電話作戦応援を認めるなど、教会と深い関係にある人物である。5区の神田憲次氏、3区の池田佳隆氏、12区の青山周平氏も、関連団体会合について出席・挨拶や会費支出があったことを認めている(青山氏は会費支出のみ)。「勝共推進国会議員」とは、既に関係性が構築されている議員を指す用語といえるだろう。

3頁(内部資料より)

 3頁は、「勝利への戦略」として東海ブロック(愛知・岐阜・三重・静岡)32小選挙区の情勢を分析し、「東海32小選挙区で21勝11敗」と「比例8議席復活」のための「絶対条件」を掲げる。その上で惜敗率の低い順に静岡5区(吉川赳氏)、三重3区(石原正敬氏)、愛知2区(中川貴元氏)を挙げている。いずれも比例復活を果たした候補者で予測の正確性が窺える。

4頁(内部資料より)

 つづく4頁には、「選挙結果」として21年衆院選での東海ブロック32小選挙区の投開票結果が記され、選挙前の予想を遥かに上回る結果が得られたことが示されている。

9頁(内部資料より)

 9頁には、「新しくUPFに繋がった東海ブロック国会議員10人」が記されており、統一教会のフロント組織である天宙平和連合(UPF)と世界平和連合(FWP)が一体となった政界工作であることが示されている。