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教団関係者と撮影した「記念写真」の数々

 資料の後半、20頁から32頁には教団関係者が各候補者と撮影した「記念写真」が掲載されている。これらは、各議員が「組織的な選挙支援」を受けていたことを示す“決定的証拠”ともいえ、「統一教会とは知らずに参加し挨拶した」「ボランティアとして信者が偶然、選対本部に紛れ込んでいた」などの常套句的な言い訳が通用しないレベルの衝撃的な内容である。 

旧統一教会関係者と満面の笑みで記念撮影する丹羽秀樹氏(内部資料より)

「丹羽秀樹先生を迎えて国政報告会」は公示直前の21年10月17日に行われている。見えづらいが、写真中央奥に統一教会の21年10月のカレンダーが掲げられていることから、教会施設である可能性が高い。しかし、丹羽氏はこれまで統一教会との関連について「接点あり」としか答えず、詳細を明かしてこなかった(事務所によれば「祝電を送ったと回答」)。

 教団関係者と満面の笑みの丹羽氏だが、当選後から県連会長として教団との関係遮断を確認する「誓約書」への署名を公認候補者に求めてきた立場だ。丹羽事務所は、この会合について、「旧統一教会関連会合に出席した記録は確認できませんでした」と回答。「これまで、旧統一教会及び関連団体への選挙支援の依頼、及び組織的支援などの依頼をしたことはありません。また、ボランティアを受け入れる際、信教・思想信条の確認はおこなっておりません」と続けた。

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 写真の国政報告会については、この期に及んで「統一教会のものとは知らなかった」と言うのだろうか。県連会長の認識がこの程度のものであれば、党の方針の徹底順守も甚だ疑わしい。

旧統一教会のシンボルマークのついた演台で挨拶する石井拓氏(内部資料より)

 愛知13区の石井拓氏も公示直前の21年10月14日に「石井拓先生衆議院選勝利決起集会」を開催している。写真は、統一教会のシンボルマークのついた演台に上がり、石井氏が壇上から出席者に挨拶している姿をとらえている。主催は「拓世会」とあることから、後援会を結成してもらっている可能性がある。統一教会は候補者の名前の1字と「世」を後援会名にするのが特徴だ。石井氏はこれまでの調査で、関連団体の会合に出席し挨拶したことを認めているが、教団主催の会合への出席や、教団による選挙支援、後援会の結成については一切言及していない。

 石井事務所に決起集会の開催趣旨や「拓世会」の結成趣旨について問い合わせたが、「旧統一教会及びその関係団体とのかかわりについては、党本部から適宜公表されているとおりです」とだけ答えた。写真を提示し詳細を問うと、「知人の呼びかけで挨拶依頼があり、選挙前に参加した。“拓世会”の名称は先方が決め、決起集会を開くとの説明ではなく、石井さんを応援したいので人を集めておきますとの説明でしたので参加しました」とし、これまでの説明と矛盾する理由については言及しなかった。

統一教会なしで選挙を戦えるのか?

 内部資料から読み取れる問題点は3つだ。第一に、自民党と統一教会との組織的な協力関係への疑い。第二に、自民党の点検調査が不十分であること。第三に、こうした組織的な選挙支援は中部地区のみならず、全国規模で行われていると推測されることである。統一教会による全国5地区の区分けのうち、残りの4地区でも、自民党議員への当選活動が同時期に日本全域で行われていたのではないだろうか。また、統一教会信者たちによる献身的かつ組織的な選挙運動が、今回の選挙では行われていないと、誰が断言できるのだろうか。

文藝春秋 電子版」には、石破茂内閣の現役閣僚や副大臣、政務官と統一教会との関係を示す“決定的証拠”となる衝撃的な写真が多数掲載されている。加えて、統一教会による中部地方議員の“格付け”の詳細や「全員当選」のための具体的選挙戦略が詳述されている。