田中角栄の故郷として知られる新潟県。田中元首相と言えば、総理辞職後もキングメーカーとして影響力を誇った昭和の今太閤。叩き上げの宰相が築いた「角栄王国」が、ついに自壊しようとしている。

 「週刊文春」が10月23日に公開し、多くの注目を集めている衆院選「最終予測リスト」。そのリストで、新潟県選挙区の自民党系候補が全敗の危機に瀕しているのだ。

逆風が吹く自民党 ©文藝春秋

劣勢が続いてきた新潟選挙区

「最終予測リスト」の新潟エリアを見ていくと、新潟1区~5区まで立憲民主党の候補者にC+(やや優勢)以上の判定がされている。非公認候補を含めた自民系の全敗が予測されている都道府県は全国でも2県のみ。もう1つの県が計2選挙区であることを考えると、5戦5敗は異例の“完敗”予測と言えるだろう。

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 そもそも民主党が政権交代を成し遂げた2009年の総選挙では自民が全敗。一方、自民党の政権奪回となった2012年選挙では全勝とその時の風に左右されてきた新潟選挙区。2014年は自民の5勝1敗だったものの、自民党与党で迎えた2017年と2021年ではいずれも野党系候補に対し2勝4敗と劣勢が続いてきた。

 そして今回、区割りが変更となり、計5つとなった新潟選挙区すべてで、自民系が選挙区で勝てないという予測がされる事態となっている。新潟保守の迷走を示しているのが新潟4区だ。

 この選挙区は、前回選挙では無所属出馬の米山隆一前新潟県知事が当選。比例復活当選を果たしたのが、元新潟県知事の自民党公認候補・泉田裕彦氏だった。今回は2人の元県知事に加えて、前回は自民党北陸信越ブロックの比例代表に回っていた鷲尾英一郎氏が党公認で出馬する展開に。泉田氏は無所属での参戦を余儀なくされた。

 もとはと言えば、米山氏は2009年の衆院選に自民党から出馬。旧新潟5区の新人候補として田中真紀子氏に打ちのめされたが、今回は立憲民主党の議員として選挙戦を戦っている。対する自民党公認候補である鷲尾英一郎氏はもともと2017年まで民進党に所属していた当選6回の議員だ。

 自民から無所属、野党から自民、自民から野党と与野党間で複雑な思惑が絡み合うカオスな新潟4区。予測では米山氏が「保守分裂」の漁夫の利を得てC+(やや優勢)と評価が下されている。では、他の選挙区の趨勢は? もう1つの“自民全敗”予測の県とは? そして各政党の全獲得議席数はどうなるのか? 「最終予測リスト」完全版は「週刊文春電子版」で読むことができる。

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