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「統一教会、辞めてますよ」

 10月15日の公示で第50回衆院選が幕を開けたが、その日の朝10時から川崎市で行われた山際氏の出陣式は目を疑うものだった。

出陣式での山際氏(参加者提供)

「報道関係者の入場をお断りしております」

 会場前には大きな張り紙があり、記者クラブの代表以外の取材はシャットアウト。選対本部長を務める大島明市議から、本人の希望で選挙期間中に街頭演説は一切行わないとの通告まであった(その後、変更し岸田文雄元首相や小林鷹之氏が応援演説に来ていた)。

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 その大島市議から衝撃の発言が出たのは、出陣式後の囲み取材の場だった。山際氏本人の代わりに選対本部長として取材を受けるというのだ。山際氏は関係断絶を約束する誓約書に署名をしており、事務所からも教会関係者を排除したと説明する大島氏に、「秘書に二人いるじゃないですか」と私が問うと、報道陣を前にこう言い放ったのだ。

「あれ、もう辞めてますよ」

――二人とも?

「辞めてますよ」

――A氏とB氏?

「統一教会をね。秘書では、いますよ」

――統一教会を辞めてるんですか?

「統一教会、辞めてますよ」

――じゃあ元信者だったことは認めるんですか

「うん、元は、だって」

 改めて、編集部を通して山際事務所に、現職秘書が教会を辞めた経緯などについて尋ねたが、「すでに表明している通り、当事務所は旧統一教会とは、すでに関係を断絶しております。また自民党本部にも同内容の『誓約書』を提出の上、公認を頂いております」と答えるのみ。質問に正面から答える気はないようだ。

「信仰暴露」という的外れな指摘

 小川氏の追及や、私の取材活動を「信仰暴露」「アウティング」だと非難するのが、統一教会関係者の常套手段となっているが、その指摘は実に的外れなものだ。もし本当に、A氏、B氏自身が自分の意思のみで政治家の秘書を志し、個人的な志望動機で山際事務所の秘書となったのであれば、問題とは言えない。

 だが、統一教会が青年信者を秘書として議員事務所へ送り込むことは、教団の人事の一環であり、政界工作の一端である。創設者の文鮮明氏が次のように指示をしているからだ。

「まず政治家の秘書として食い込め。食い込んだら議員の秘密を握れ。次に自らが議員になれ」(「週刊現代」1999年2月27日号掲載の元信者証言より)

 さらに、統一教会は日本政府が東京地裁に解散命令を請求している団体であり、その反社会性は公に認定されているに等しい。そればかりか、韓国発祥の教団に閣僚クラスの政治家の情報が筒抜けになる安全保障上の懸念すらある。山際氏が経済再生担当大臣当時、A氏は大臣秘書官として首相官邸にまで出入りしていた。国益を損ねる可能性すらある重大な問題であることを我々は認識すべきだ。

 本記事の全文は、「文藝春秋 電子版」に掲載されています(鈴木エイト「神奈川県の深刻な“旧統一教会汚染” ベテラン県議が離党と引き換えに訴えたこと」)。

文藝春秋 電子版」には、小川県議の手記「議員歴25年の自民党県議が証言! 小泉進次郎選対委員長が握り潰した『山際衆院議員の旧統一教会汚染」告発』も掲載されています。秘書のA氏だけにとどまらない山際議員と旧統一教会との関係、そしてそれを小泉氏が不問に付した経緯が詳述されている。