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ジャパンビバレッジ側は「スト破り」要員を招集

 ジャパンビバレッジ側は当日、普段の倍以上の人数になるように、人員を各営業所から「スト破り」要員として招集していたため、長時間「売切」が放置されていたわけではない。とはいえ、利用者の多い箇所では、昼過ぎには再び「売切」ランプが続々と点りはじめ、しばらくしてから補充が追いつくという、ストライキの影響とスト破りの「いたちごっこ」が続いている状態だった。

一列丸ごと「売切」ランプが点灯した自販機も

 さらに、インターネット上の反響は大きかった。冒頭に紹介した記事もYahoo! Japanのトップページに上がり、「ジャパンビバレッジ東京」はヤフーリアルタイム検索で話題のキーワードのランキング2位にまで上り詰めた。

 ツイッター上では、年齢層や政治的な立場を超えてストライキへの共感・応援の声が見られた。安倍政権反対派も支持派も両方が応援していたし、特に注目したいのが、政治的な発言をほとんどしていない若者も好意的に言及し、ほぼ全てが支持していたことだ。日本でストライキがこれほど大衆的な支援を得られたことは、戦後の歴史を見ても画期的と言えるのではないだろうか。

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「間違ったことをしているという思いは1ミリもなかった」

 今回の当事者である組合員たちは、ストライキについて、どのような感想を抱いているのだろうか。東京駅で勤務するAさん、Bさんは次のように語る。

「ワクワクしながらストライキ当日を迎えましたね。間違ったことをしているという思いは1ミリもありませんでした。ネットの反響を見ると、ほとんどが応援の言葉だったので、本当にやってよかったなと感じます。普段、僕たちがどれだけ頑張っているのかを会社に知らせるにはこういう方法しかないのかなと思います」(Aさん)

ストライキの実施を通告する組合員たち

「最初に組合の人からストについて聞いたとき、本当にやることになるとは思っていませんでした。でも、団体交渉での人事部の発言や回答書があまりにひどいもので、もうストをやってでも、なんとか会社の対応を変えないといけない、これはやるべきなんだと覚悟を決めました。

 そんなに高い要求を会社にしたわけじゃないんです。『未払い賃金を払ってくださいよ』『懲戒はおかしいんじゃないですか』という、ただそれだけなんですよね。新しく入社してくる次の世代が働きやすい職場になってほしいんです」(Bさん)

 組合員たちのストライキが世論を動かし、その世論の支持がさらに組合員たちを勇気づけていることがわかる。また二人とも、自分たちを軽んじる会社に対して、強い確信を持ってストライキに踏み切っていたこともうかがえるのではないだろうか。