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 年が明けて2021年に入るとLINEの内容はエスカレートし、A子が「裸で抱き合うだけでも気持ちいい」「エッチしたい」とのメッセージや裸の自撮り写真も送っている。

 裁判の争点となったのは、車内で行われた性交類似行為や性交のときにA子が同意していたかどうかだ。A子側の弁護士はBくんに無理やり迫られ、A子は同意していなかったとして「やめてと言ったり、蹴ったり、叩いたりして抵抗しました」と主張したが、裁判では認められなかった。

「生徒Bは16歳で、軽度の知的障害があり、判断力は未熟だ。そのため、被告人の言動に影響を受ける。そのことを十分に認識していた。そして、性的な関係を匂わせるメッセージを送り、2人で会うことを約束した。これらはBの思考に影響を与えた。

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 しかもレンタカーで人目につかない場所で性交類似行為をし、その後も好意的なメッセージを送った。被告人は『就職支援のためにメッセージを送った』というが、そもそもメッセージのやりとりに就職支援の話はなく、その話が出てくるのは、21年1月以降だった。また、2人で会うことに関して学校を介さないのは不可解である。個人的な好意なしのメッセージを送ったとするのは無理がある」(裁判長)

写真はイメージです ©AFLO

「やっちゃった」とは言ったものの、「セックスをした」とは言っていない?

 裁判では、車内での性行為についてBくんの「やっちゃった」などの証言が信用できるかどうかも争点になった。

 検察側は証言の具体性や、性交被害について児童相談所の職員に「(A子と)やっちゃった」と言ったことなどから、証言は信用できると主張した。

 しかし弁護側は、Bくんは「やっちゃった」とは言ったものの、「セックスをした」とは言っていないことを主張。児童相談所の職員に一度は「同意ではない」と話したものの、4日後に「自分から誘った(同意があった)」と証言が変わり、法廷で「同意はない」と再び口にするなど、Bくんの証言が変化していることを指摘し、信用できないと主張した。

 しかし裁判所は弁護側の主張を退け、Bくんの証言を採用している。