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「監督に逆らえば、大学にいられなくなる」

 相手をケガさせるように指示したという一部証言についても「最近のことはわからないが、反則してまで相手を痛めつけることを指示するというのはありえないし、ありえないと願いたい」と語った。

 部員の中には「監督に逆らえば退部になるし、大学にもいられなくなる」と語る学生もいる。内田監督の“威光”や“権力”が学生たちに影響を与えているとすれば、監督の「厳しい指導」に対し、「乖離した」受け取り方をして反則覚悟の悪質プレーをする選手が出てきても不思議ではない。

 事態の説明と再発防止策を依然として打ち出さない日大の鈍い動きに、同じ関東学生連盟に所属するチームたちが反応し始めた。まず、法政、立教、東大、明治がこの春に予定されていた日大とのオープン戦をボイコット。理由は「日本大学と試合を行う予定であることに対して、チーム内外から心配の声もあがって」(東大・三沢英生監督と森清之ヘッドコーチの連名の声明)いるからだ。

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「悪質タックル」の瞬間(関西学院大学提供)

秋のリーグ戦はどうなる?

 さらに関東大学1部リーグ(トップ8、ビッグ8)の、日大を除く15チームの監督会は関東学生連盟に対して第三者委員会を設置して真相究明にあたることを要望した。

 真相解明と有効な再発防止策の策定がなされなければ、関東学生の秋のリーグ戦は成り立たなくなる。日大と対戦するトップ8のチームが、日大との対戦をボイコットする事態も想定できるからだ。そうなれば関東リーグの権威は失墜し、学生日本一の王座も無意味と化す。フットボールは危険なスポーツとのレッテルを貼られ、日本での100周年を待たずに衰退の一歩をたどる可能性を誰が否定できるだろうか。真相をうやむやにすることでそんな事態を招いてはならない。

生沢 浩(ジャパンタイムズ)

※日大・内田正人監督の辞意表明を受け、冒頭の段落を一部加筆訂正しました。(5/19 16:00)