衆院選の余波は続いているが、その結果を受けて最も注目すべき政党はこちらではないか?
『公明党、比例票600万割れの衝撃 長期低落防ぐ党再建論』(日本経済新聞10月29日)
与党である公明党は24議席を獲得し、公示前より減った。石井啓一代表も落選。支持者の高齢化で組織の足腰が弱り比例代表で600万を割り、およそ20年前から3割超も減少というのである。
このように一般紙ではシビアに報道されたが、では聖教新聞や公明新聞は今回の衆院選をどう伝えていたのか? 前者は創価学会の機関紙であり、後者は公明党の機関紙である。報道ぶりが気になって仕方なかったので調べてみた。
聖教新聞はどう報じたか
まず聖教新聞。選挙スタート(公示)翌日の一面見出しはこちら。『永遠に常勝関西たれ』(10月16日)。
創価学会の原田会長や永石女性部長が関西地区の「最前線の同志を激励」とある。選挙のことだろう。公明党にとって「常勝関西」と呼んできた関西選挙区は最大のピンチを迎えていた。これまでの衆院選ですみ分けてきた日本維新の会と対決になったからだ。絶対に負けられないからこそ会長が激励に駆けつけ、一面でも取り上げたのではないか。
同じ一面の「寸鉄」という短文コラムには『混戦続く兵庫。中央神戸、尼崎の友が渾身の猛追!攻めの行動貫き常勝譜を』(10月17日)など独特の文体で檄が連日飛んでいた。
あれ、大逆転勝利になったのか?
しかし結果は兵庫県内の2選挙区は勝ったものの、大阪府内の4選挙区では全敗。苦戦したのは関西地域だけではなかった。選挙期間中の聖教新聞の見出しを振り返ってもわかる。『大逆転勝利へ 執念の訴え 衆院選あと1週間、公明候補が各地で大攻勢』(10月20日)、『衆院選きょう投票 公明党、必ず大逆転勝利!』(10月27日)。
小選挙区はかつてない厳しい戦いを余儀なくされており大逆転勝利へ、とリード文に書かれていた。では選挙結果はどうだったのか。投開票翌日の一面を見てみよう。
『公明党、激戦突破相次ぐ』(10月28日)
あれ、大逆転勝利になったのか? と思ってしまうが「比例区まず14議席獲得」という切り口だった。翌日の一面は『公明党、4小選挙区で議席獲得』とこちらもポジティブだが、同面に掲載された公明党の声明は「捲土重来を期す」。これがすべてを物語っていた。
ここまでは聖教新聞である。では公明新聞も見てみたい。公明党の機関紙なのでもっと具体的で激烈だと予想したからだ。