若かりし頃、人生最初の彼氏ができた元ヤクザの西村まこさん。ところが、この男が食わせ物。恋人、同棲関係を解消したあと、西村さんに驚きの仕打ちを…。当時の思い出を、著書『「女ヤクザ」とよばれて ヤクザも恐れた「悪魔の子」の一代記』(清談社Publico)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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女ヤクザ、事故物件に住む
少し話が逸れますが、(元カレと同棲していた)この部屋に住むようになって、金縛りにあうようになりました。私はシャブのせいだと考え、あまり気にもしませんでしたが、お隣さんに引っ越しがあって挨拶に来ると、その夕方には荷物をまとめて出ていくということが続けて起こりました。
どうもただごとではないので、遊びに来る人間や知り合いに、この建物の噂を聞いて情報収集をしました。その結果、隣の部屋に住んでいた女性が火事で死んでおり、いわくつきの事故物件であることがわかったのです。幽霊は怖くないのですが、金縛りは面倒ですし、薄気味悪いので引っ越すことにしました。
元カレから受けたひどい仕打ち
引っ越し先は融通の利く不動産店のすすめで、北一色というところに借りました。新しい部屋は2LDKで、心機一転、生きていこうと思ったのですが、相変わらず、さまざまな組のヤクザの訪問を受けることは変わりませんでした。
新居に移ってからも追い出した男からたびたび電話があり、カネの無心をされました。
5000円、1万円は、あげたつもりで貸していました。ところが、後日、とんでもないことが判明したのです。
この男は要領のいい子だったので、私の母親を丸め込んで実家から250万円を引き出していることがわかりました。それも「まこには内緒で」という但し書きつきだったそうです。さらに、蓋を開けると、サラ金の借金も母親が肩代わりしていたのです。
このときばかりは、うちの親を紹介しなければよかったと悔やみました。母親から私に苦情も来ましたが、私が知らないところで勝手に貸しているのですから、ケツを持てません。
もちろん、この事実を知ったときは男に電話をかけ、「テメー、この野郎。勝手に人の親からカネを借りんな。倍にして返せよ」と最大限の罵り言葉を浴びせました。
このとき、つるんでいたヤクザが、たまたま電話の話を聞いており、「まこちゃん、そいつ、ムカつくなあ」とボソッと言いました。それほど甲斐性のない、残念な男でした。