爆笑問題の太田光もタレントとしては優秀なのですが、テレビでは態度が悪かったり、言葉がきつく聞こえるときがあります。本人には再三注意していますが、視聴者からはよく「失礼だ」と批判されるありさまです。社長である私自身も手を焼いていました。
業界の中にいても「コンプライアンス強化」という時代の変化を体感することが年々増えていました。昨年、BBCがジャニー喜多川氏の性加害問題を報道して以来、タレントを抱える芸能事務所に対して、テレビ局や広告代理店から「コンプライアンスや人権問題について研修をしているか」という問い合わせやアンケート調査をいただくようになっていたのです。
太田は目立たないようにひっそり……
かなり前から所属タレントだけではなく社員にも研修の予定を伝え、なるべく時間を確保しておいてもらいました。後日、太田はラジオで「なんで俺が3時間も研修を受けなきゃならないんだ。若手だけでいいだろ!」と文句を言っていましたが、私からすれば太田こそ受けるべきです。
危機管理講習会は3部構成で、第1部が「今の時代におけるタレント心得」、そして「タレントと選挙 タレントが気をつけるべき2事例」、「よくあるトラブル解決 誰もが負う危険性のある法的責任」と続きます。
会場の大教室には芸人と社員がすし詰め状態。太田は目立たないようにひっそりと、一番後ろの席に座っていました。
第1部は橋下さんが講師でした。
「タイタンの顧問弁護士を務めています、橋下です。芸人の皆さんに弁護士が講義をすること自体が昔なら考えられなかったことです。でも、皆さんには本当に時代が変わったことを認識して仕事をしてもらいたいと思っています」
いつも見ているテレビでの姿とは異なり、本業(?)である弁護士として話し始めた橋下さんを見て、何かを悟ったのか、芸人たちも真剣な表情で耳を傾けています。
太田光代氏の本記事全文は、「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
全文では、研修の中で触れられた女性関係やSNSにおける注意点、また研修後に爆笑問題が出演したラジオ番組でのエピソード、さらにはタイタンの「後継者」をめぐる太田氏の想いなども現れています。
■連載「お笑い社長繁盛記」
第1回「爆笑問題の忘れられない日」
第2回「爆笑問題『復活ライブ』の秘策」
第3回「立川談志と太田光『銀座のバーで修羅場』」
第4回「宗教二世に生まれて」
第5回「M-1優勝 ウエストランドのチン騒動」
第6回「芸人トラブルこそ社長の出番」
第7回「SMAP育ての親と秘密の晩餐」
第8回「事務所快進撃と裏腹の不妊治療」
第9回「太田を悩ませる田中の脳とタマ」
最終回「コンプラ研修に全員集合!」
【文藝春秋 目次】〈緊急特集〉石破首相の煉獄 自民党崩壊 久米晃×曽我豪×中北浩爾/ジャンル別ガイド あなたに見てほしい映画/5つの臓器のアンチエイジング
2024年12月号
2024年11月9日 発売
1100円(税込)