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「アメリカが守ってくれる」の幻想

 そこで問題なのは、前方展開部隊と前方部隊、特に台湾の部隊が不可欠であり、台湾の部隊が本当に強力に自国を守ろうとするのかどうかという点です。

 冷戦時代にも同じようなことがありました。当時、西ドイツの東ドイツ側の国境沿いには、アメリカ軍だけでなく、NATO軍の巨大な軍隊が配備されていました。そしていざ何かが起こってソ連が大規模な侵攻を仕掛けるのであれば、十分に反撃できるだけの態勢をとっていたのです。もちろんそれは結局起こらなかったわけですが。

 台湾と日本にとってまずいのは、彼らが、「アメリカのご機嫌さえとっておけば(つまりそれなりに防衛義務さえ果たしておけば)、いざという時にアメリカが助けてくれる」と考える傾向があることです。それはまったく正しい考え方ではありません。台湾と日本が自己防衛のために多くのことをしてこそ、アメリカは実際にやってきて重要な役割を果たす可能性が高くなるのです。これは自らロシアと闘う姿勢を鮮明にしたことでアメリカの支援を勝ち得たウクライナのゼレンスキー大統領の例を見てもわかります。

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 私はこの点を説明する際に、日本の歌舞伎の例を挙げています。歌舞伎には、敗れた戦士が退却して刀を振り回す場面があるそうです。しかし、いくら勇敢に刀を振り回しても、戦いに敗れた現実は変わらない。しかし、彼は名誉のために刀を振りかざして退却するのです。実際に台湾が侵攻された後にアメリカがさらに軍事力を振りかざすポーズをとったとしても、それはポーズだけで、実際の戦争で日本や台湾が負けたあとでは元も子もありません。私が心配しているのは、日本や台湾がみずから自国を守る準備をしっかりしておかないと、この歌舞伎のようなことになるということです。