さんまから「君か!」
06年に上京後は沖縄料理店や寿司屋など様々なバイトを掛け持ち。その1つが、新宿のルミネtheよしもと近くのうなぎ屋だった。
「千原せいじら吉本芸人御用達のうなぎ屋で、美人店員と評判になっていた。のちに『踊る!さんま御殿!!』に出演した際、明石家さんまから『君か!』と突っ込まれていました」(芸能記者)
翌07年、22歳の時に『仮面ライダー電王』(テレ朝系)で佐藤健の姉役でデビュー。同じ頃、写真集も2冊出している。
「セクシーな水着や下着姿を披露していた。1冊目の『watercolor』はブレイクした22年頃から価格が高騰し、現在、フリマアプリでは2万円前後で取引されています」(同前)
「暗黒期」からの転機。人妻を熱演
ただ、以降、様々な作品に出演こそするものの、なかなか大きな役には恵まれなかった。本人曰く、すぐに「死んじゃう役ばかり」で、20代中盤から「暗黒期」を迎えたという。
〈特に30歳前後は仕事も少なくどん底。最悪な状況でした。「いま関わっている仕事が終わったら辞める」とまで母に言ったぐらいですから〉(「anan web」昨年3月15日配信)
転機は38歳の時。22年に出演した『復讐の未亡人』(テレ東系)と『金魚妻』(Netflix)での体当たり演技が大きな話題を呼んだのだ。過去のインタビューでは「ほんとに色気がないって言われるんです」と謙遜していたが、『復讐の〜』では喘ぎ声を重ねる激しい絡みに挑戦。『金魚妻』でも、不倫に対して頭痛を起こすほど抵抗感があるにもかかわらず、運命の男性に惹かれる人妻を熱演し、大胆な濡れ場も披露した。
「言語化できない部分を、見事に演じて頂いた」
『金魚妻』の松山博昭監督が振り返る。
「劇中に『体が貴方を覚えていたの』という象徴的なセリフがあります。下手をするとただの卑猥な言葉になりかねないセリフでしたが、松本さんは記憶にないはずの2人の思い出や感覚が残っている、愛に満ち溢れた想いとしてその言葉を表現して下さいました。行為後のシーンも、夫婦として過ごした長い歳月と愛情を垣間見せる表情を見せてくれました。運命で巡り合うような言語化できない部分を、見事に演じて頂いたと思います」
松山監督は同じ22年の『ミステリと言う勿れ』(フジ系)でも、松本を刑事役で起用している。
「実は『金魚妻』の現場で、雑談交じりに『刑事役をやったことあります?』と聞いたんです。『ないです』と答えられたので、『きっとクールで男勝りな刑事役がハマると思います』と。その後、正式にオファーし、ご快諾頂きました。一見すると『金魚妻』とは真逆の役ですが内に秘めた芯の強さ、想いの熱さは共通する。そして、そこが若菜さんご本人とも共通すると思ったんです。結果、とてもカッコよく演じて下さいました」(同前)
果たして、本人はどう考えているのか……松本に取材を申し込んだところ、メールで回答が届いた!