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普通って言われるのが、何よりも怖い

 一方で、眉毛を剃ることへの不安ももちろんあった。

 ここまで読んでくださった人には隠しようもないけれど、陽キャか陰キャかで言えば、私は完全に後者だ。それが芸能界では、ゲジゲジ眉毛に2つ団子頭、派手な衣装をトレードマークにデビューした。しかも15歳で。

 その子がモジモジして、人見知りで、暗かったら、誰もが扱いに困るはずだ。

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 だから、空回りするくらい元気で、明るいキャラクターの井上咲楽になった。この眉毛、この髪型なんだから、陽キャじゃないとねと思っていたのだ。

 でも、眉毛を剃ったら、トレードマークがなくなる。

 陽キャでいる必要がなくなったら、きっと陰キャな面が表に出てくるだろう。そしたら「なんかあの子、眉毛を剃ったら普通の子になったな」と言われるのではないか?

 私は、普通って言われるのが本当に怖かった。

撮影/荻原大志

眉毛という個性がなくなっただけになってしまうかも?

 実は、眉毛を剃ってから『今夜くらべてみました』がオンエアされるまでにはしばらく間があった。

 当日、スタジオで流すビフォアアフターの密着取材で、初めてプロのメイクさんに眉毛を剃り整えてもらった。でも直後に鏡を見た時の正直な感想は、「変わったかな?」だった。

 以前、ネットでの書き込みに「井上咲楽、眉毛を剃ったらもっといい感じになりそう」というのを見て、眉毛を手で隠して鏡を見たり、写真を撮ったりしては「別に、そうでもないじゃん」と思った時と同じ。実際に剃ってみても大きく変わった感じはしなかった。

 もしかすると、眉毛という個性がなくなってしまっただけになるかも……と不安になりながら、オンエアの日を待っていた。