『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)を始め、数多くのバラエティ番組で活躍する、タレントの井上咲楽さん(24)。今年に入ってからは、NHKの大河ドラマ『光る君へ』への出演や、YouTubeチャンネルの開設、レシピ本『井上咲楽のおまもりごはん』(主婦の友社)の出版など、バラエティ以外での活動も注目されている。
ここでは、そんな井上さんが半生を赤裸々に綴ったエッセイ『じんせい手帖』(徳間書店)より一部を抜粋。「テレビに出ている人は、頭がいい」と唐突に慶應大学SFCへの受験を決意した高校3年生の井上さん。こっそり進めた受験勉強と、その結果は……。(全4回の3回目/続きを読む)
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突然決めた大学受験、志望校は慶應大学
テレビに出ている人は、頭がいい。聞くといい大学を出ている人も多い。
高3の秋、私は唐突に大学を受験しようと思った。
実はスカウトキャラバンの審査中も学校の偏差値のこと、進学の希望があるかどうかを何度か聞かれた。でも、うちはお父さんが工業系の高校出身で、お母さんは短大出身。大学進学に重きを置く家庭ではなかった。勉強に関して何か言われることはなく、私も高3の秋まで大学進学なんてまったく考えていなかった。
でも、スタジオでうまく話せないのは、頭が悪いからかもしれない。他のタレントさんのように大学に行ったら、変わるかもしれない。そんなふうに思ったのだ。
高3の秋なんて、もう受験シーズンは目前だ。
ここから準備して合格の可能性があるのは、小論文と面接で受けることができるAO入試だけ。しかし、多くの大学がAO受験希望者には英検2級レベルの英語力を求めていた。
残念ながら私は英語ができない。受験を思い立ったものの、受ける先がない。そんな中、人づてに教えてもらったのが慶應大学SFCだった。
当時のSFCは小論文と面接で合否を判定していたし、やりたいことを明確に打ち出して、なぜSFCで学びたいかをアピールすることで合格の可能性があると聞いた。
スカウトキャラバンの狭き門を突破した私なのだから、いけるかも。前向きな気持ちでそう思った。