もともと、阪神・淡路大震災から来年で30年経つので、これを機に組織をスリム化していく話がありました。そのなかで副理事長のポストを減らすことになったのです。とはいえ、両先生には引き続き同機構内でセンター長として残っていただきますし、特に御厨先生は前から常駐されていなかったものの、これからも節目のタイミングでご協力いただくつもりでした。
文書では、理事長だった故・五百籏頭眞先生に前触れなくお二人の解任を通告したことが、急逝された先生の死因であると書かれていますが、運営担当者は今後の方針を先生に丁寧に伝え、最後には納得していただいているはずです。二人の解任と五百籏頭先生が亡くなったことを結びつけるのはおかしいと思っています。
結果にこだわりすぎた
私が今、最も反省すべきだと思っているのは、職員との意思疎通についてです。
知事に就任した2021年は、コロナ禍の真っ只中。最初の2年はみんなマスクをして、まともなコミュニケーションが取れない状態でしたが、昨年コロナ禍が収束したのを機に、遅れていた施策をようやく進めることができると私は躍起になっていました。
まだ40代の若い知事として改革を期待されていたプレッシャーもありました。ドラスティックな施策は自分の言葉で説明して、詰めて進めていかなければいけないと気が急いていたとも思います。コロナ禍のあと業務の「見える化」が進み、知事にも県民にはっきりとわかる成果が求められるようになったという変化も感じていました。
そんな状況の中で自分でも気づかぬうちに結果を出すことにこだわってしまったのでしょう。トップダウン的に指示を出すことが増えました。気心の知れた部下にはすぐ指示を、と夜中にメールを送ることがあったのは事実です。合理的・効率的に仕事をこなし、組織としてのパフォーマンスを高めなければいけないということばかりを考えていたように思います。
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このインタビュー全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(斎藤元彦「『感謝の言葉が足りませんでした』斎藤元彦・前兵庫県知事が語った失敗と反省」)。インタビュー全文では、下記の内容が語られています。
・Xさんから話を聞きたかった
・播州弁の厳しい口調
・「文化学術系嫌い」の真相
・結果にこだわりすぎた
・県民本位の県政に
・愛読書は司馬遼太郎