11月17日、斎藤元彦氏が兵庫県知事の職に返り咲いた。9月に知事の地位を追われた斎藤氏が、その直後、「文藝春秋」に本音を語っていた。斎藤氏は、なぜ内部告発を批判したのか。

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ゴルフのアイアンセット「一切いただいていません」

 聴取の結果、文書が(元西播磨県民局長の)Xさんの作成したものだと判明し、片山さんは彼のパソコンを押収しました。作成者の特定から処分まで拙速だったという批判もあります。私自身は公人ですので、文書に書かれていたハラスメント疑惑等は甘受しなければなりませんが、私が何より許せなかったのは、現場で働く課長級の職員の個人名が明記されていた点です。同じ公務員同士、仲間を晒すことはあってはなりません。

「文藝春秋」のインタビューに答えた斎藤元彦氏 ©文藝春秋

 私は会見で文書の存在に触れ、「業務時間中に『嘘八百』を含めて、事実無根の文書を作って流す行為は公務員として失格です」と述べました。表現の行き過ぎはあったと思いますが、私はあの事実ではない内容がどんどん拡散されることを懸念し、その注意喚起も込めて報道にくぎを刺そうとしたのです。

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 文書には、私が県内各地で贈答品を受領していたとする、いわゆる“おねだり”についても書かれています。市川町が特産品にしようと頑張っているゴルフのアイアンセットが私に贈呈されたことになっていますが、一切いただいていません。さらに、加西市にある家電メーカー「千石」の高級コーヒーメーカーももらっていません。パワハラにしても、例えば公用車から20メートル歩かされ、職員を𠮟責したと言われていますが、動線をきちんと確保してほしいと言っただけのことでした。

「文化学術系嫌い」の真相

 文書には「とにかく齋藤氏は井戸嫌い、年長者嫌い、文化学術系嫌い」ともありました。その一例として、私が「ひょうご震災記念21世紀研究機構」で副理事長を務めていた御厨貴先生と河田惠昭先生を何の相談もなく解任した、と断定されています。これも事実ではありません。