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「とくに今回の座組には幼い子どもを持つイクメンが多く、子育てや女性の生きづらさに関するテーマがよく話題に上がりました。これから放送する第7話でも、働きながら出産、育児を行う世代の大変さにスポットを当てています。このように、さまざまなテーマを盛り込んでいけるのは、やはり『民王』という原作の組み立ての秀逸さがあったから。原作は泰山と息子が入れ替わり、お互いの立場を理解し合えるようになるという、普遍的な家族の物語でもありますし……。もちろん、池井戸さんのドラマに対する反応はすごく気になっていて、毎回、ドキドキはしているんですが(笑)」

『民王』(池井戸潤 著)

大スキャンダル、テロ首謀者登場、まさかの○○との入れ替わり?

 そして気になるのは、これからクライマックスに向けての展開。すでに解禁された11月26日放送の第6回の予告では、次期政界の担い手として期待を集める白鳥翼にスキャンダルが持ち上がる。何やら最近、現実世界でも聞いたような……。

「キャストの皆さんとも先日、撮影現場で『何か、出ちゃったよね!』と話していました。第6話では白鳥に加えてもうひとり、泰山と入れ替わるお笑い芸人が登場し、キャンセル・カルチャー(不祥事を起こした人物をSNSなどで糾弾し、ボイコットする動き)がテーマに。ドラマの作り手である私たちにとっても、昨今、炎上は無関係ではなく、その経験や実感を込めています」

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 さらに終盤に向けては、泰山の入れ替わりテロを仕組んだ人物の正体が明らかとなる。その暗躍で政界に激震が走り、武藤内閣は正真正銘の危機を迎えることに……これも何やら現実にそうなりそうで、もはや脚本は“予言の書”と化すのでは?

「うーん、どうなるでしょう(笑)。クライマックスにかけて泰山はさらに驚くような存在と入れ替わり、そのお芝居に遠藤さんが全力で取り組んでいます。何とぞこの熟年俳優の奮闘とラスボスたちの怪演を、最後まで楽しみながら見守り、応援していただけたらと思います」

飯田氏と文庫版「民王」

飯田サヤカ(いいだ・さやか)ドラマプロデューサー。

2001年、テレビ朝日に入社。おもなプロデュース作に池井戸潤原作『民王』シリーズ・『ハヤブサ消防団』をはじめ、『妖怪シェアハウス』シリーズ、『ホリデイラブ』『サイン-法医学者柚木貴志の事件-』『微笑む人』『不協和音』『ブラック・ジャック』『JKと六法全書』『君とゆきて咲く~新選組青春録~』など。

民王 (文春文庫)

民王 (文春文庫)

池井戸 潤

文藝春秋

2013年6月10日 発売