実は今、ヤクザや闇バイトグループなど裏社会の人間たちの興味を集めるのが「ポケモンカード」。1996年に誕生したカードゲームがなぜ、裏社会の人間たちが法を犯してまで手に入れたいアイテムに変わってしまったのか? ライターの奥窪優木氏の新刊『転売ヤー 闇の経済学』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)

なぜ裏社会の人間たちが「ポケモンカード」に群がるのか? 写真はイメージ ©getty

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 海外では、犯罪組織の拠点からポケモンカードが押収されるケースが頻発している。

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 2023年6月23日付けの英紙『デイリー・ミラー』によると、違法薬物の売人として逮捕された男女が住むイングランドのノッティンガム近郊の民家から、大量のポケモンカードが見つかった。その総額は1万ポンド(約183万円)にも達していると見られており、警察は犯罪収益によって取得された疑いがあるとして、それらを押収したという。

 また、カナダのオンラインメディア「グローバルニュース」によると、同国アルバータ州のエドモントン警察は、2023年4月、2軒の家宅捜索で末端価格にして40万カナダドル以上の違法薬物と、総額3万4000カナダドル(約370万円)にものぼるポケモンカードをはじめとする6万枚近いトレーディングカードを発見したという。

ポケモンカードに群がる裏社会の住人たち

 日本でも、裏社会のポケモンカードへの関心を証明するような事件が起きている。

 2022年8月、東京・秋葉原の店舗で、販売総額約1300万円相当のポケモンカード約650枚と現金約480万円が盗まれる事件が発生。これまでに指示役と実行犯あわせて4人の男が逮捕されている。

写真はイメージ ©getty

 報道によると指示役の男は2022年8月4日午前3時半頃、実行役3人と共謀し、東京都千代田区のJR秋葉原駅近くのカードショップに侵入。現金約480万円とポケモンカード約650枚(約1300万円相当)を盗んだ疑いだ。指示役の男はSNSで実行犯を募集しており、いわゆる闇バイト案件だったことも判明している。この指示役の男は区内の別店舗で約2660万円相当のポケモンカードなどが盗まれた事件にも関与したと見られている。