トランプ氏が再選した今、日本はアメリカとどのように対峙すべきなのか。「米国の行動はどこまで信頼できるのか」と問いかけた、フランスの歴史人口学者・エマニュエル・トッド氏のインタビュー(「文藝春秋」2022年5月号)を一部紹介します。(通訳 大野舞)

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日本は核を持つべきだ

 アフガニスタン、イラク、シリア、ウクライナと、米国は常に戦争や軍事介入を繰り返してきました。戦争はもはや米国の文化やビジネスの一部になっています。こうなってしまったのは、戦争で間違いを起こしても、世界一の軍事大国である米国自身は侵攻されるリスクがないからです。だから間違いを繰り返すのです。

エマニュエル・トッド氏 ©文藝春秋

 米国の行動の“危うさ”は、日本にとって最大のリスクで、不必要な戦争に巻き込まれる恐れがあります(実際、ウクライナ危機では、日本の国益に反する対露制裁に巻き込まれています)。当面、日本の安全保障に日米同盟は不可欠だとしても、米国に頼りきってよいのか。米国の行動はどこまで信頼できるのか。こうした疑いを拭えない以上、日本は核を持つべきだと私は考えます。

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 日本の核保有は、私が以前から提案してきたことで、今回の危機で考えを改めたわけではありませんが、現在その必要性は、さらに高まっているように見えます。