2024年10月、文春オンラインで反響の大きかった記事5本を発表します。第2位はこちら!(初公開日 2024/10/02)。

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 TBS系の『西園寺さんは家事をしない』(24年)で、人一倍仕事はできるが家事はいっさいしない独身OLの主人公・西園寺一妃役を演じた松本若菜(40)が一躍脚光を浴びている。有能ゆえに、アラフォーにしてマイホームも購入。独身貴族を貫く主人公が、ひょんなことから転がり込んできた天才エンジニアの父娘と偽家族を演じるという難しい役柄を見事に演じきり、『西園寺さん』ロスを巻き起こした。

松本若菜 ©︎共同通信社

「今アルバイトをしていてバイト帰りなのでちょっとタレくさいです」

 松本は1984年2月25日生まれの鳥取県米子市出身。高校時代に米子駅前のスーパーでアルバイト中、ちょうど米子を訪れていた女優の奈美悦子と当時の事務所社長からスカウトされ、厳格な家風を受けいったんは断り地元で就職するが、後日、一念発起。事務所社長に連絡を取り、22歳で上京。新宿の鰻(うなぎ)屋でアルバイトをしながら演技レッスンに通い、オーディションを受ける日々を送った。

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 じつはラッキーガールで、上京の翌年、22歳で『仮面ライダー電王』(07年)の佐藤健演じる主人公の姉役で女優デビューを飾る。

 松本は「テレ朝POST」のインタビューで当時のことを振り返り、外見とは裏腹に庶民派の一面をのぞかせた。

松村北斗と共演した「西園寺さんは家事をしない」(本人インスタグラムより)

「バイトが終わって、鰻のタレのにおいがついたままでオーディション会場に行ったんです。今になっては、それがよかったのかなと思うんですけど、みんなは『どこそこから参りました○○と申します。今までの出演作は○○と○○です』という感じで話していましたが、私には出演作もまったくないし、どうしようみたいな感じでした。

 それで、『どこそこから来ました松本若菜です。今アルバイトをしていてバイト帰りなのでちょっとタレくさいです』って言ったら、『ハハハハハ』って笑ってくれて、多分その役柄とのギャップが良かったのか、おもしろいと思ってくれたのか、それとも変にかぶれていない自然体をおもしろがってくれたのか……」

 24歳で、当時、TBSの敷地内にオープンした劇場・赤坂サカスのイメージキャラクター・赤坂なでしこ娘に選ばれ、同劇場の情報番組にもレギュラー出演。25歳で映画『腐女子彼女。』(09年)の主人公に抜擢。タイトルどおりBL(ボーイズ・ラブ)とコスプレ好きの腐女子役を演じ、メイド服をはじめ初音ミクなどさまざまなコスプレ姿を披露している。

 松本自身は腐女子ではなく、役が決まるとさっそくインターネットで腐女子について調べまくり、必死に学習した。それまでコスプレもやったことがなく、最初は役の上でもメイドルックは恥ずかしかったという。