14年前に勤務していた中学校で女子生徒に性的暴行を加え、けがをさせたとして、準強姦(ごうかん)致傷罪などに問われた東京都の中学校教員・北村比左嘉容疑者(57)の裁判員裁判の判決が9日、東京地裁であった。
細谷泰暢裁判長は「精神的被害は甚大だ」として、懲役9年(求刑懲役10年)を言い渡した。これまで報じてきた記事を再公開する。(初出:「文春オンライン」2023年9月15日公開/年齢・肩書きは当時のまま)
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「いつも白衣を着たニコニコしている先生という印象です。生徒には男女隔たりなく優しかったし、距離感も近すぎるって感じたことはありませんでした」
こう語るのは、東京都の中学校教員・北村比左嘉容疑者(55)のかつての教え子だ。北村容疑者は練馬区立三原台中学校の現職の校長。過去に勤務していた別の中学校の女子生徒のわいせつな画像が保存されたビデオカメラを所持した疑いで逮捕されたのである。
事件発覚のきっかけは教育委員会へ寄せられた匿名の相談電話
北村容疑者は逮捕後にこう供述している。
「児童の性器を触っている画像や児童の裸が写った画像の入ったビデオカメラを勤務する学校の校長室に所持していたことは間違いない。勤務していた中学校の生徒を撮影したものです。撮影した当時、再び見ることがあると思って保存していました」
事件発覚は昨年11月。都の教育委員会の相談窓口への「過去に北村先生からわいせつな行為を受けた」という匿名の電話だった。
「女性からの相談があったのは、都教委が設置した『児童・生徒を教職員等による性暴力から守るための第三者相談窓口』です。昨年4月にいわゆる『わいせつ教員対策法』が施行されたことを受けて設置されたものでした」(全国紙社会部記者)
今年2月、都教委から中学校を管轄する練馬区教育委員会に情報が共有され、7月14日に練馬署へ通報が入る。
「練馬区教育委員会の担当者が被害者と協議を重ねたのですが、被害女性は当初このことを公にすることを躊躇していたそうです」(同前)
日本の理科教育をリードする名物教師という顔も
元教え子にわいせつ行為をはたらき、その様子を映像に残す――擁護の余地のない犯罪に手を染めた北村容疑者は、1967年東京都に生まれた。都立の名門・西高校を卒業後、1浪して東京学芸大学教育学部A類(理科)に進み、教員免許を取得した。
文京区の中学校を皮切りに1998年からは練馬区内の中学校で理科の教員として教鞭をとった。今年は全国中学校理科教育研究会の事務局長に就任しており、日本の理科教育をリードする名物教師という顔もある。2012年に受けた教育専門誌のインタビューでは、こんなことまで語っている。
〈教科を教えるだけではなく、生徒をサポートする役割を果たしてこその教師。不登校の生徒などに対し、保護者との連絡や家庭訪問など、できる限りのことをします〉