政治の中心地、東京・霞が関から“マル秘”政界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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「壁」を巡る同期の攻防
少数与党となった石破茂政権にとって、目下の重要課題は、「103万円の壁」である。国民民主党の看板政策だが、実現すれば大幅な税収減は必至のくせ球だ。
かつての石破氏が何より好んだ筋論で言えば、所得税の非課税限度額を引き上げたところで「壁」が残ることに変わりはない。国民民主が言うほどに勤労意欲を削いでいるのならば、学生ら一部への配慮は残しつつ特例措置自体を廃止するほうが理にかなう。この間、「103万円の壁」引き上げしか見るべきものがないこと自体、政権の「真空ぶり」を物語る。
そして今、「103万円の壁」を巡って政官の舞台で攻防を繰り広げるのが財務省の平成5年入省組である。
主役はもちろん、国民民主党の玉木雄一郎代表だ。同期の一人は「主計局で主査を務めていたが、それほど目立つ存在ではなかった」と振り返るが、今や、自民党が独占してきた税制という「聖域」に踏み込むまでになった。
玉木氏の妻も元職員で、主計局の一般職として幹部の秘書を務めた。「判断力が高く、難しい来客にもうまく対応。局内の若手には人気があった」(元幹部)。香川で選挙を支え、「誰にでも好かれるざっくばらんな賢妻」(地元記者)と頼りにされ、不倫報道後は今まで以上に頭が上がらない。
霞が関で玉木氏の攻勢を正面から受け止めるのは、同期入省の植松利夫主税局審議官だ。植松氏は厚労省への出向経験があり、税と社会保障は一体で検討するべきだという信念を持つ。責任感が強く、最後まで諦めない性格だが、「年収の壁がこれほどの争点になるとは思っておらず、真剣に悩んでいる」(同省課長)と、事態の打開に苦しむ。
主計局には同期のエース、吉野維一郎次長がいる。「減税の財源はすぐに見つかりそうもない」(主計局幹部)とされるだけに、政財界に広い人脈を持つ吉野氏が当面の予算編成をどう凌ぐか、知恵の出しどころだ。《続きは「文藝春秋 電子版」に掲載されています》
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本記事の全文は「文藝春秋」2025年1月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。この記事の全文(約4500字)では、下記の内容をお読みいだけます。
★「壁」を巡る同期の攻防
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2025年1月号
2024年12月10日 発売
1550円(税込)