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「にわか」を引き寄せて発展していくコンテンツ産業

 筆者は30年以上、アニメ・ゲームといった「コンテンツ産業」に携わってきましたが、発展する分野ほど生粋のファン以外の「にわか」を引き寄せているのを体験しました。2016年に記録的ヒット映画となったアニメ「君の名は。」は、日本映画歴代四位の250億円の興行収入をかっ飛ばしましたが、これこそアニメファン以外の人を大勢劇場に動員出来た結果です。純粋なアニメファンのみを対象にした場合はおおむね興収20億円前後が限界ラインで、これを超えるには「普段アニメを見ない人」を引き込む必要がありますが簡単なことではありません。カープは自らが「物語(ストーリー)」になることで、この難題に答えを出し始めています。

 かつてジャイアンツは「巨人の星」という名作漫画(アニメも)によって当時の子供たちに絶大な影響力を持ちました。野球に興味のない大阪の小学生でも川上巨人のオーダーを暗唱出来たほどです。これこそがストーリーの力です。ただジャイアンツは親会社自体が大手メディアだったせいでしょうか、この効果は軽視されて今ではほとんど省みられていないのが残念です。

 一方カープは漫画化やアニメ化がなくても、カープそのものがコンテンツとなりつつあります。これは全く新しい現象です。もはやスポーツ興行を超えて、グッズ販売やファンの交流までも包括した総合エンタメに育ちつつあるのです。このことに気がついた他球団(例えば横浜DeNAベイスターズ)などもチームのストーリー化に舵を切りはじめたように見えます。

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 かつては消滅寸前だったこともある地方の貧乏球団カープが、今日本で一番成功している最先端のコンテンツビジネスに成長してきたのです。グラウンドのプレーだけでなく、カープビジネスのさらなる進化にも目が離せません。

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