政治の中心地、東京・霞が関から“マル秘”政界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。

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「岸田議連」の火種

 政権が「103万円の壁」にかかり切りになる中、3年にわたり宰相の座にあった岸田文雄氏が11月にそろりと議連を立ち上げた。テーマは首相時代から力を入れてきた資産運用立国だ。早速、イデコ(個人型確定拠出年金)の拠出限度額引き上げを政府に求めることを決めた。

 イデコ改革は元々、岸田氏が自ら総裁選に出馬した場合に備えて温めていたもので、議連の中心は木原選対委員長、小林史明環境副大臣、神田潤一法務政務官(平成6年、日本銀行入行)ら旧岸田派議員が占める。ほとんど機能停止に陥る政権を横目に、旧岸田派を軸に足場を固め直すとともに、自身の「再登板」も勘定に入れる狙いも透けて見える。これに対し、霞が関からは、「イデコ改革は重要だが、岸田氏が仕掛ける政争の具になるのは望ましくない」との声も上がる。

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 税制と年金制度の両面にまたがるイデコ見直しに、財務・厚労両省は見て見ぬ振りを決め込みたいのが本音。財務省の青木孝德主税局長(元年、旧大蔵省)、植松主税局審議官ら同局幹部は、「103万円の壁」見直しに翻弄され「それどころじゃない」と話す。

画像はイメージです ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

 一方の厚労省は5年に一度の年金制度改革の議論の真っ只中だ。「衆院選への逆風を避けよ」との圧力がかかり、7月に橋本泰宏前年金局長(昭和62年、旧厚生省)が、「本丸」だった国民年金納付期間の5年延長案見送りを表明。苦汁をなめさせられた一件は霞が関でも話題となった。《続きは「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます》