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「副業」で月収27万円を稼ぐ女性も

逆に、すでに副業の域を超えて稼いでいるのが、普段EC業界で働きながらライバーをしている30歳の女性、eleyさん(仮名)だ。

「月に5万〜6万元(約22万5000円〜27万円)ほど稼ぎます。ライバーの醍醐味は、商品のセールスポイントを理解し、リアルタイムで活発な雰囲気で商品を販売することです。お客さんが『おすすめされた商品が気に入った』と言ってくれたり、売り上げ目標を達成できたときは、お金では買えない喜びを感じます。逆に、大変なのは、体力を消耗することで、売り上げ目標を達成できないとプレッシャーが大きく、ある程度のストレス耐性がないと辛い仕事かもしれません」

だが、eleyさんのように大きく売り上げを伸ばすことができるのはほんの一握りだ。副業での一獲千金を夢見てたくさんの台湾の若者がライバーに手を出すが、思ったように稼げず、周さんのように脱落していく人は多い。

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政府の対応は後手後手に回っている

台湾政府は、若者の貧困問題に対して、何か対策を打ち出しているのだろうか。林氏は、こうため息をつく。

「台湾文化では、貧困は『怠惰』や『努力不足』の結果と見なされがちです。このため、貧困問題に対する政策は問題が見つかってからそれを補塡するような後手後手の性質が強く、根本的な解決を目指したものではありません。

最近は救済法が整備されつつありますが、需要には追いついていません。政府は基本的に「計画型」のアプローチを取っており、民間団体に事業計画を提出させ、一部資金を補助する形で支援を行っています。しかし、必要な予算の一部しか支援されず、社会福祉団体が取り組んでいる内容も限定的です」

台湾にもある若者の貧困問題。表面的には日本よりも、よりリベラルな社会に見えなくもないが、我々日本と同じ問題を抱えているようだ。現在、日本人観光客で賑わう台湾だが、こういう社会問題も頭の片隅にいれてもらえれば、両国の相互理解もより進むのではないだろうか。

神田 桂一(かんだ・けいいち)
フリーライター
1978年、大阪生まれ。写真週刊誌『FLASH』記者、『マンスリーよしもとプラス』編集を経て、海外放浪の旅へ。帰国後『ニコニコニュース』編集記者として活動し、のちにフリーランスとなる。。著書に『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(菊池良との共著、宝島社)、『おーい、丼』(ちくま文庫編集部編、ちくま文庫)、『台湾対抗文化紀行』(晶文社)。マンガ原作に『めぞん文豪』(菊池良との共著、河尻みつる作画、少年画報社。『ヤングキング』連載中)