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ある指定暴力団三次団体幹部が漏らした“一言”

 積水ハウス地面師事件の全貌は、まだ明らかになっていないと囁かれている。梶山グループは、トップは逮捕されたものの、幹部や末端の人間はそのまま社会に溶け込んでいった。いわゆる「プロたち」の犯罪の特徴だ。謎を残し、全ては明らかにされていない――。

 翻ってルフィ事件は主犯格の逮捕から始まり、末端の人間も裁判にかけられ、全貌がめくられていっている。この違いこそ、現代の経済事件の特徴を表していると感じている。

 ある指定暴力団三次団体幹部が漏らした。「一発、ぶち上げたいとは思っている」。また、準暴力団の人間も「これで終わりたくないですね」と言う。火種はどこかで燻(くすぶ)っているのだ。

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©AFLO

 ルフィ事件の「亜流」のような事件はいまも散見される。大阪では特殊詐欺グループが7月に摘発。105人もの人間が逮捕されている。SNS型の投資詐欺であり、大阪府警がグループの実態を捜査中だが、恐らく「トクリュウ」の範疇だろう。グループのリーダーは指名手配され東南アジアに逃亡中とされている(2024年9月28日現在)が、これほど大量の人間が逮捕されている時点で「失敗」であり、アマチュアの犯罪と捉える事が出来る。そして、失敗しているにもかかわらず、この手のアマチュアの経済犯罪はしばらくは続くというのが筆者の見通しだ。

 アマチュアの経済犯罪はSNSの発達と共に増加していくと思われる。それは分かりやすい形で我々の前に姿を現し、報道されるだろう(目立つだろう)。その水面下ではプロが起こす経済犯罪がうごめいている。深海に潜った魚のように姿を見せず、報道ベースに乗りにくい。こういった二極化が、今後の経済事件の構図になっていくのではないだろうか。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2025年の論点100』に掲載されています。