1996年のクリスマスの翌日、コロラド州ボールダーの豪邸の地下室で、美少女コンテストのビューティー・クィーンとして有名だった、当時6歳のジョンベネ・ラムジーの遺体が発見された。検死の結果、ジョンベネは性的暴行を受け、首を絞められ、頭蓋骨骨折もしていた。誰のものとはわからぬDNAも爪と下着から見つかった。“世界最大の未解決事件”とも呼ばれているこの事件から28年。今、アメリカでは、ジョンベネ殺害事件が再燃している。
11月25日、ネットフリックスが「コールドケース: ジョンベネ・ラムジーちゃんを殺したのは誰だ」というドキュメンタリー番組を放送したことが引き金となった。3つのパートからなるこの番組は、事件を詳細に振り返り、ボールダー警察の不手際な捜査のために家族に嫌疑がかけられたこと、それにより報道機関も家族を犯人扱いして騒ぎ立てたこと、今、独立機関によるDNA調査が求められていることなどについて掘り下げている。
このドキュメンタリー番組をベースに、事件について説明しておきたい。
現場に来た警官は殺人事件捜査の経験がなかった
始まりは、クリスマスの翌朝、ジョンベネの母親パッツィーがキッチンの階段に置かれていたジョンベネの身代金を要求する脅迫状を見つけたことだった。ジョンベネが誘拐されたと思ったパッツィーは警察に通報。しかし、現場に駆けつけた警官は殺人事件を捜査した経験がなく、犯行の痕跡を何も見つけられなかった。
ボールダー警察が疑いの目を投げかけたのは在宅していた両親だった。身代金要求の脅迫状には家の中にあったノートが使われていたからだ。また、身代金を要求する内容にしては書き置きが非常に長く、11万8000ドルという要求額がジョンベネの父親ジョンのボーナスに近かったことも家族に対する疑惑を掻き立てた。警察は、誘拐は彼らがジョンベネ殺害を隠蔽するためにした自作自演ではないかと考えたわけである。