「『この役、ちゃんと視聴者に共感してもらえるの!?』と少し不安です(笑)」
――香取さんが演じる主人公・大森一平は、選挙に当選するためのイメージアップを狙って、シングルファーザーの義弟(志尊淳)とその子どもたちとのニセ家族生活に臨む“最低男”という設定だそうですが。
香取 撮影に入る前、テレビ局が出すプレスリリース用のコメントで、「香取慎吾は“最高男”のなのに“最低男”が務まるのかな?」みたく話しちゃったんですけど、いざ現場に入ってみたら、ちょっと僕も引くほどの最低男で。撮影中のいまも、「え、もしかして俺いま悪役やってるのかな?」とか、「この役、ちゃんと視聴者に共感してもらえるの!?」と少し不安です(笑)。「そんなことないですよ」とプロデューサーは言うんですけどね。でも、だんだん気持ちよくなってきていて。
――人を謀(たばか)る男、腹に一物ある男に、楽しさが感じられてきたということでしょうか?
香取 そうですね。そもそも本来の目的を隠しながら秘密裏に何かを進めるって、僕らの仕事も似てるところがあるじゃないですか。何か決まっていても情報解禁までは内緒だし。音楽のアルバムも、「出来ました!」とお披露目する日に向けて、何カ月も掛けて、日々こそこそと作っていくし。
一平の台詞には、「これ、本当はAとBどっちの意味なんだ?」と考えさせられるものも結構あって、演じている僕も騙されています。前向きなテンションで台詞を言うと、「これ、まだ台本には書かれていないんだけど、実はちょっと裏の意味があって」とか言われて、「えっ、これもそうなの!?」みたいな。
最高男が最低男を演じるのは、難しいけど、面白いですね。ただ、一平はちょっと浅いところが多々あってツッコミどころ満載なんですけどね。僕自身はもっと念入りに、用意周到に企てますよ?(笑)。