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がんの専門医の先生の決断

 直子 そのあと、最初に一対一で話したがんの専門医の先生の存在も大きかった。

 努 抗がん剤治療専門の先生が、最初に2人きりでお会いしたいと言ってね。

 30代後半ぐらいの無口な人で、会っても全然喋らないんだ。しばらく2人で黙って窓から空を見てた。しかたがない、こちらから世間話ふうに色んなことを喋ったの。

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山﨑努氏と娘の直子氏 ©文藝春秋

 その中で僕が「もう充分生きましたから」みたいなことを言ったんだ。そうしたら、初めて「その言葉で安心しました。思い切って治療に踏み切れます」って決断してくれた。

 僕が87歳(当時)という齢で、彼はそんな年寄りを診たことがなかったんだね。抗がん剤をどのぐらい使ったらいいか、患者の精神状態はどうなるのか、そういうことがとても不安だったらしい〉

 このほかにも、がん告知のときの様子や医師との関係、抗がん剤の副作用、のどを鍛えるリハビリなどについて、これまでのキャリアを振り返りながら語っている。「山﨑努 食道がん体験報告 生存率15%からの生還」は、月刊誌「文藝春秋」2月号(1月10日発売)及び「文藝春秋 電子版」(1月9日公開)に掲載される。

文藝春秋

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食道がん体験報告 生存率15%からの生還