2021年秋にNetflixで配信され世界的なブームを巻き起こした「イカゲーム」。12月26日、3年ぶりに待望のシーズン2が配信され大ヒット中だ。シーズン1で死のゲームを勝ち抜き456億ウォン(日本円にして約45億円)という大金を手にした主人公ソン・ギフンは、再び死のゲームに身を投じることになる。金ではなく、復讐のためだ。今回もそれぞれの事情から金が必要な参加者たちは死のゲームに挑むが、456人のうち一人しか助からない。しかし、「イカゲーム2」ではギフンはそれを変えようとする。監督のファン・ドンヒョクと主演のイ・ジョンジェが取材に応じた。
シーズン1と今作との最大の違いは「投票システム」
シーズン 1 では、ギフンたち参加者が借金まみれである背景に韓国の金融危機や、行き過ぎた競争社会があったが、シーズン2には不安定な世界情勢が反映されている。
ファン監督:「前作はパンデミックの最中に公開されましたが、その後も世界は良くはなっていません。むしろ本当に悪い方向へ向かっています。富の格差は開くばかりで、世界中の難民問題、気候変動問題も悪化し、世界中で起こっている悲惨な戦争により、さらに多くの死がもたらされています。そして若い世代は、もはや富を創造したり、働いて裕福になりたいとは思っていません。彼らは、暗号通貨などに投資して手っ取り早くお金を稼ぐことを望んでいます。これは韓国だけでなく、世界中で起きていること。こうした現実世界の出来事は、間違いなく私の創造性に影響を与えています」
悪くなる一方の世界を変えられるのか。主人公の456番ことギフンのいう復讐もベースには、それがある。彼は全ての黒幕を暴き、残酷なゲームに終止符を打つために、ゲームの世界に帰ってきた。ギフンの復讐は死んでいったプレイヤーたちの弔い合戦が名目だが、それは一人勝ちになりがちな資本主義の暴走を止められるのか、という問いでもある。そこでファンがシーズン2で取り入れたのが、投票というシステムだ。参加者たちは、1ゲームごとに、ゲームを続けるか、それともやめるか、を多数決で決めることができる。しかし、この民主的に見えるシステムがまた、争いを生むことになる。
イ・ジョンジェはソン・ギフンを演じる上でも、シーズン1と2では大きな違いがあったという。