1ページ目から読む
2/3ページ目

「会見をしないのか」という声が続出

 会見などをしないのかという声は他にも多かった。これらを意識したのが松本氏によるクリスマス配信のインタビューだったのだろうか。続いてサンケイスポーツ。

『【記者の目】非常に難しい松本人志復帰のタイミング 「応援して下さい」活動再開意欲は明らかもコンプライアンス重視強めるスポンサー』。要約は以下の通りだ。

・松本側は「強制性の有無を直接に示す物的証拠はない」との一点を着地点とし、女性側に謝罪。裁判に自ら幕を引いた。

 

・活動再開意欲は明らか。だが、テレビ局にCMを出すスポンサーは年々コンプライアンス重視を強めている。ましてや性トラブルとなれば、簡単ではないだろう。

 デイリースポーツは『松本人志 文春訴訟終結に芸能界復帰への思いとその覚悟 記者の視点』とし、以下のようにまとめている。

ADVERTISEMENT

・松本にも言い分はあるにせよ、被害を訴えた女性が「不快な思い」をしたことは確かで、そこに向き合う必要があることは言うまでもない。

スポーツ新聞は、ただの広報にはなっていないか?

 さて、今回私がスポーツ紙を読み比べたのは、記者は芸能界に詳しいという信頼からだけではない。SMAP解散時の報道が鮮明だが、芸能担当記者は事務所とパイプが太いからこそ「ちゃんと論評できるのか? ただの広報になっていないか?」というチェック視点も大事だと思ったからだ。

 その点でいうと印象的だったのがスポーツ報知の1面見出しだ(11月9日)。

 『文春と電撃終戦 松本人志』とあって、その横に、「強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました」という松本氏側のコメントを大きく載せていた。そして端のほうに、「心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」という女性たちへのコメントを小さめに載せていた。順番と大きさが逆ではないだろうか。

©時事通信社

 報知は裁判終結を“痛み分け”とも書いていた。松本氏の復帰に関しても11月の時点で次のように書いていた。

《関係者によると、松本はテレビ復帰だけに固執していないという。配信番組の企画プロデュースや劇場での漫才で、復帰の一歩を踏み出すのも選択肢になる。》(2024年11月9日)

声をあげた女性たちがどう思うか

 記者の松本氏周辺への食い込みが優秀なのかもしれないが、今回の件でまず気にしなければいけないのは松本氏の復帰時期ではなく、声をあげた女性たちがどう思うかではないだろうか。

 というのも、私もつい視聴者として「復帰時期、場所はどこ?」と昨年の年明けから考えていたからだ。テレビから撤退しても劇場に戻ればよいのではとか、配信システムが定着すればむしろテレビに引導を渡してしまうきっかけにもなるのでは? とさえ想像した。

 でも、「今は考えることではない」とすぐに思い直した。声を上げた人たちを置き去りにするようなことをしてはいけない、と感じたからだ。

 それでいうと昨年の「週刊文春」の誌面で『松本問題「私はこう考える」』という企画があったが、注目したのは評論家の荻上チキ氏の見解だった。抜粋する。