どうも不可解なものを感じるが、検察官も裁判官もスルーした。被害者側に落ち度的なものがあるとき、できるだけ触れないのが普通といえる。
教員らが調べると、合計9台の小型カメラがあちこちのトイレに隠匿設置されていた。学校内は大騒ぎになり、被告人が所在不明となった。学校の防犯(監視)カメラに、学校から出て行く被告人の姿が録画されていた。この事件は追起訴があった。盗撮の被害者は「A」から「J」まで、つまり10人に上った。
被告人には前科があった。6年前、電車内の痴漢で逮捕され、自宅のパソコンやスマホからトイレの盗撮画像が発見された。清掃員として出入りしていた小学校で女子トイレに小型カメラを隠匿設置し女児を盗撮していたのだ。その件で懲役1年8月の実刑判決を受けた。今回の求刑は懲役3年。判決を私は傍聴できなかった。懲役2年を超えただろう。
飲食店にある「男女共用トイレ」の危険性
6、お洒落なカフェの男女共用トイレ
犯行場所は、東京都内のあちこちにある、お洒落なカフェだった。被告人(40代、IT系の社員、妻と10代の子2人と同居)は出勤前にそのカフェに寄り、1階の「男女共用便所」(以下、トイレ)に1台、2階のトイレに2台、小型カメラを仕掛けた。
退勤後、カフェへ寄り、カメラを回収。マイクロSDカードから盗撮画像をパソコンに移し、若い女性の動画だけを選別。顔や性器周辺部にモザイクをかけるとか一切なしに、何本かまとめてアダルト動画の販売サイト(サーバーはロシア連邦のモスクワ市)にアップロード。それをくり返した。
約1年間に、シリーズものとして少なくとも約40本の動画をアップロード。約1万5000件の購入があり、売り上げは約17万4000アメリカドル。被告人自身の利益は少なくとも約868万円に上った!
子供たちは「パパはなんで逮捕されたの?」
なぜ発覚したのか。動画を買った者は、自分で視聴する者だけとは限らない。パクってどこかに転載し、稼ごうとする者もいる。どうもそういうところにアップされた動画を見た「第三者」が、被害女性の1人に知らせた。