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女性は「言葉にならないほどの怒りと恥ずかしさ」を感じて警察へ届けた。警察は女性の話と動画解析からカフェを突き止めて張り込み……。

ある朝、逮捕令状を持った警察官が数人、被告人宅へやってきた。逮捕だけで終わらず、家宅捜索が始まった。そのときのことを被告人はこう述べた。

被告人「家宅捜索のとき、子供たちと鉢合わせて、パパはなんで逮捕されたの? ……報道で事実を知ってから、もう会いたくないと……」

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保釈後、妻子とは別居した。求刑は懲役3年。判決の日、私はどうしても裁判所へ行けず、親しい傍聴マニア氏に傍聴してもらった。懲役3月、執行猶予4年だったそうだ。

盗撮犯を恐喝する「盗撮ハンター」も存在する

7、盗撮犯を狙う恐喝犯「盗撮ハンター」

今やスマホは、手にくっついた高性能盗撮アイテムということができる。ミントのタブレットケース型とか自動車のキー型とか、巧妙な偽装カメラも普通に販売されている。盗撮カメラの極小化も進んでいる。

そして、ネットで簡単に盗撮画像が見られ、盗撮魔たちの匿名掲示板もあるという。刺激されてつい、あるいはスリルを求めて「自分も……」となる男たちが後を絶たない。

ゆえに、「盗撮ハンター」なる連中も存在する。盗撮犯を見つけ「あの女は俺の彼女だ。警察へ行くか、この場で示談か、どっちか選べ」などと言い、少なくとも数十万円の現金を脅し取るのである。盗撮犯が大手企業の社員で気が弱そうなら、さらにふっかける。そういう裁判も私は何件か傍聴した。

ある被告人(盗撮ハンター)は、盗撮犯を見つけるのは簡単だと述べた。ハンター自身、盗撮魔であり複数の前科があった。盗撮犯の心理が手に取るように分かるのだという。

女性諸氏よ、コンビニやカフェ、ハンバーガー店などの飲食店の男女共用トイレへ入ったら、まずは盗撮カメラを探してはいかがだろうか。女子トイレも安心とはいえない。

盗撮動画を商売にする者は、盗撮カメラを仕込んだ“お風呂セット”を女性に持たせ、女湯へ送り込むことがある。女性を使って女子トイレに盗撮カメラを仕掛けた事件を、私はまだ傍聴したことがないが、あり得ることだろうと思う。今はそういう時代なのだ。注意されたい。

今井 亮一(いまい・りょういち)
交通ジャーナリスト
1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。傍聴した裁判は1万1000事件を超えた(2024年6月現在)。