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 忠志は明奈から包丁を取り上げ、説得を続けた。

「オレが死んだら殺人者になってしまう。オレが死ぬ前に自首してくれ」

 明奈は忠志にうながされて110番した。自分が夫を殺そうとしたことを正直に話した。まもなく2人の警察官が駆け付けた。忠志は自分の首を止血しながら、状況を説明した。

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 明奈は殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。

裁判で見せた反省の姿「また4人で暮らしたい」

「夫の束縛や暴力、これから大丈夫なのかという経済的不安があり、夫を殺せば離れられると思い、やってしまいました」

 忠志は頭頂骨骨折や頸部刺創などで、全治2カ月の重傷を負ったが、明奈の公判に情状証人として出廷し、「妻を恨みに思う気持ちは一切ない。自分にも非があった。それを棚に上げて妻だけを責めるわけにはいかない。もう許している。出所したら、また4人で暮らしたい」と話した。

 事件後、公営住宅に入居するため、形だけの離婚をしたが、子供たちがクリスマスに「プレゼントは要らないから、ママに帰ってきて欲しい」という手紙をサンタクロースに書いたエピソードなどを披露し、これまで話し合えていなかった夫婦間のわだかまりも解くことができたので、罪を減刑してほしいと涙ながらに訴えた。

 明奈も「出所後は夫と復縁し、また4人で暮らしたいと思います」と述べた。

 これに驚いたのは裁判員や裁判官の方だった。

「明奈さん、あなたは家庭のためにもう十分やってこられたと思います。それなのに復縁したいだなんて…。私たちは理解できない」

「今までは私が一方的に不満をため込んでストレスを抱えてしまっていた。これからは同じ立場で話もできるし、暴力もないと思う」

 裁判長も次のように話した。