日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。

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ソフトバンクの隙間風

 15兆円を投資し、10万人の雇用を創出する──。ソフトバンクグループの孫正義会長はトランプ次期大統領のフロリダ州の自宅を訪問、米国への巨額投資を約束した。会見ではトランプ氏からその倍の投資を冗談気味に求められ、孫氏が苦笑いする一幕もあった。

 USスチール買収計画が窮地に陥っている日本製鉄(今井正社長)とは対照的。同社も米国への巨額投資や雇用創出を謳うも、買収は差し止められたまま。今後はいかにトランプ氏のご機嫌を取れるかが米国ビジネスの命運を分ける。

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孫正義氏(左)とトランプ次期大統領。昨年12月、トランプ次期大統領の別荘で孫氏はスピーチに登壇 ©AFP=時事

 だが実はソフトバンクグループ内で投資方針を巡り、不協和音が生じている。傘下のソフトバンクの宮川潤一社長は昨年11月の会見で、次世代半導体の量産を目指すラピダス(小池淳義社長)への追加出資を認めた上で、孫氏と対立があったことを示唆した。

「宮川氏は国産の半導体サプライチェーンが必要だと考えている。一方、孫氏はラピダスが技術的に台湾のTSMCや韓国のサムスン電子に敵うはずがないと考えている。それゆえ2人の間に隙間風が吹いているのです」(通信業界関係者)

 宮川氏は2021年、前任社長の宮内謙氏からバトンを受け継いだ。25年3月期、ソフトバンクは1兆円近い営業利益を見込んでおり、その経営手腕は高く評価されている。ただ、この先懸念されているのが個人向け通信事業の失速だ。NTTドコモ(前田義晃社長)の新料金プラン「ahamo」など他社が低価格攻勢を仕掛け、「ワイモバイル」ブランドを手掛けるソフトバンクは収益面で影響を受け始めている。《続きは「文藝春秋 電子版」でお読みください》