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 この度、映画化を実現させた吉田大八監督が原作者の筒井康隆とついに対面。完成した作品を観た筒井は「傑作!」と絶賛。全編モノクロの映像についても「モノクロームの方がいい。カラーでは考えられない。」と断言する。

 

 今「敵」が映画化されたことについては、「映画化については当時否定的になりがちだったんですよね。こんなものは映画になるわけがないとかね。あの頃はそういう風に思っていたんだけれども、よく考えてみれば逆に、だからこそ映画になりやすいんじゃないかと、映画化に最適な作品ではないかと今ではそう思っています。」と胸の内を明かす。

筒井にとって70代は「全然年寄りだと思ってなかった」

 原作の同名小説「敵」は老齢文学の傑作といわれるが、当時64歳で「老い」がテーマの作品を書いたことについて筒井は「年をとるのが怖かったからでしょうね、年をとったらどうなるんだろうと思って。なんか今よりももっとみみっちくなってしまうんじゃないかとか、不細工になるんじゃないかと 色々考えた」と振り返る。主人公の儀助は原作でも映画でも70代の設定。

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 しかしながら、筒井にとって70代は「全然年寄りだと思ってなかった」という。その上で、「(年寄りだと)思い始めたのはやっぱり80過ぎてから。それでも別に若い時と何にも変わることはないからね。若い時と同じように飲めるわ、歩き回れるわ、金は入ってくるわ、同じことですね。」と振り返る。それが昨年春、89歳の時に頸椎を痛めて車いす生活に。「一瞬にしてこれ(体)になって、そこから一気に年寄りになっちゃった。だからまだ年寄りになってから1年しか経ってない(笑)」と話す。