首都圏で念願のタワーマンションを購入した、電通マンの竹中信勝さん。快適な“タワマン生活”を送っていたが、ある日突然、マンション管理組合の理事長になってしまう。

 管理会社がほとんど役に立たないため、理事長としてクレームやトラブルを一手に引き受けることになった彼は、どんな課題に直面し、どのように解決していったのか。ここでは、竹中さんの著書『タワマン理事長 - ある電通マンの記録』(ワニブックス)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)

写真はイメージです ©Takumi2/イメージマート

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隣人トラブルのたびに、議論をしてきた理事会

 マンションには、それぞれ個性を持った住民が同じ屋根の下で生活をしています。「同じマンションを選んだ」という点では住民全員の気が合っているはずなのに、隣人トラブルは日常茶飯事で、中には騒音や生活音を巡って深刻なトラブルを抱える住民もいます。

 マンションの受付に置かれた投書箱には、日々住民からの意見や要望が投げ込まれています。投函された投書の内容は、定例の理事会で議論をして対応する運用になっていました。

 投書の内容例は、「ベランダ越しにタバコの煙が流れてきて迷惑だ」とか、「夜中に洗濯機の振動がうるさくて眠れない」といった困りごとが大半です。理事会ではそのたびにどう対応すべきか議論してきました。

 ベランダでの喫煙について注意喚起を促す掲示をしたり、洗濯機の深夜利用は自粛し、洗濯機の下に制振ゴムを敷くよう呼びかけたりなどです。

理事会が対応できる範囲外のトラブル

 いつものように投書に目を通していると、「掃除機をかけると隣人から『うるさい』と壁を叩かれて困っている」というものがありました。