「北浜Gに任せておけば大丈夫」
北浜Gは、多くの顧客を抱える金融機関にとっても“都合の良い”存在だったと言ってもいい。多くの場合、案件の紹介によって手数料(フィー)を受け取ることができる契約先となっていたからだ。
それだけではない。紹介さえしておけば、補助金が採択されてから交付されるまでの間に、補助金申請者が用立てなければならない「つなぎ資金」の獲得にもつながる。さらに、金融庁から求められるコンサルティング機能の発揮という側面では、“補助金活用による経営支援を目的としたビジネスマッチングを行った”という実績にもなる。
新規の融資案件獲得に日々奮闘する金融機関からしてみれば、比較的楽に収益や融資などを獲得できる“一石三鳥”の案件だったのだ。
また、事業再構築補助金の採択率の高さも、追加案件の獲得を後押しした。第1回から第8回までの公募における北浜Gの採択率はおおむね55~65%と、同業平均の45~50%を上回る値をマーク。「北浜Gに任せておけば大丈夫」という安心感を与える裏付けとなった。
補助金申請者からしてみれば、信頼している金融機関から、信頼性の高い補助金申請コンサルタントを紹介してもらえるのだから、納得感も高い。
こうして三者の利害が一致する形で、北浜Gには次々と案件が舞い込んだ。自社でコツコツと営業先を開拓するよりもはるかに速いペースで実績が積み上がったことだろう。
大阪・東京の拠点はオーバースペック
世の中が経済正常化に向けて動くなか、受託案件数は順調に伸びていたものの、時代は人手不足。北浜Gも徐々にスタッフ不足が深刻になり、金融機関経験者などの転職組を受け入れつつ、経験の浅い“初心者”も取り込んだ。
それでも足りない分は、懇意の中小企業診断士やフリーランスなど外部に委託し、何とか案件処理を進めざるを得なくなり、委託コストも増加。とにかく人員を確保して、積み上がった仕事を処理することが、最大の経営課題になっていた。
そこで、2022年7月に、阪神電車・大阪梅田駅と地下で直結する「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」に本店を移転。その2ヵ月後には、東京支社を東京駅から徒歩1分の場所にある「TOKYOTORCH 常盤橋タワー」へ移転した。両拠点とも、大手企業などと肩を並べながら、抜群のアクセスを誇る場所であり、成長企業という印象を与えるには申し分のない場所だ。
しかし、大阪の一等地にある本店の月々の家賃はおよそ3000万円。一時は300名近くに達した従業員を受け入れるためのキャパシティとしては十分すぎるスペックだったが、膨らんでいた人件費とともに、家賃も相当な負担となっていた。
