会社清算、会社更生法・民事再生法適用など様々な形での倒産が急増している。円安、資源高、人件費の高騰などに見舞われ、資金繰りに窮する企業が相次いでいるのだ。
ここでは、60年にわたって「倒産」の現実を取材・分析しつづけてきた帝国データバンク情報統括部による新著『なぜ倒産 運命の分かれ道』(講談社)より一部を抜粋。急成長していた中小企業向けコンサルティング会社が倒産した理由とは——。(全2回の1回目/2回目に続く)
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補助金申請をはじめとする中小企業向けコンサルティングを手がけていた北浜グローバル経営株式会社(以下、北浜G)が、2024年5月24日に大阪地裁へ自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。
コロナ禍が追い風となり、再建を目指す中小企業の補助金申請をサポートしながら急成長を遂げていたが、補助金をめぐる行政方針の変更に翻弄され、破産に追い込まれた。ただ、最大の蹉跌は、身の丈を超えた積極経営によって、サービスの質の低下を招いたことだった。
補助金・助成金の申請支援で急成長
北浜Gは、北浜国際特許事務所を主宰する前井宏之氏が、中小企業向けの経営支援サービスを目的として2012年10月に設立した。
当初は、人材育成支援に関するコンサルティングの受注が中心であったが、徐々に補助金・助成金の申請支援コンサルティングにシフト。ものづくり補助金やキャリアアップ助成金といった、中小企業支援策を活用するための計画策定を手がけていた。
業績拡大のカギとなったのは、最終的に80近くにまで広がった提携金融機関の存在だ。紹介やビジネスマッチングによって補助金申請コンサルティングの案件を取り込み、存在感を高めていくなかで、新型コロナウイルスの感染拡大という“神風”が吹いた。
新規事業展開や業態転換を通じて生き残りを図ろうとする中小企業が増えるなか、「事業再構築補助金」の申請をめぐるコンサル案件は北浜Gの収入高を大きく押し上げ、コンサル業界内で一定のステータスを獲得した。